第十四話: 大爆走と大爆破
黒い光沢のある鉱物で前半身を覆い、まるで中世ヨーロッパの戦場を騎士と共に駆けた軍馬を思わせる
その速度は、
地球に
だが、今のベア吉は上りの坂道にも
「ばわっふぅ!」
大音声の
爆発したかのように巨大な火の玉が形を崩し、耳をつんざく炸裂音と共に四方へ飛び散る。
ベア吉を守る【
「くっ、何か援護をしてやりたいが……」
「こちらも制御で手一杯です!」
「……ベア吉っ」
カーゴの操縦まで行っている月子と違い、今の僕はただの
いや、確かに重要な役割はある……が、後ろで見ているだけという状況に歯噛みしてしまう。
「ですが、もうすぐです」
その言葉に、意図せず止めていた息を「ハッ!」と漏らし、改めて正面をしっかり
と、ほんの数秒――二度の大火球を突き抜けた時間だけで、既にヌッペラウオどもの陣取った
ひたすら遠いと思われた
「よし! あと少し!
ようやくこっちの手番が回ってきたと
ここまで全速力で走り続けていたベア
慣性の法則に従ってその巨体が滑っていくが、前後の脚で踏ん張りながら急停止! 合わせてカーゴも六本脚を地面に突き立てて停止した! 一体、なにが……?
答えはすぐに判明した。
ごろごろとした岩石が転がっている前方の地面を見る見るうちに赤く染め、直径一メートル、高さは二・五メートルはあろう火柱が噴き上がったのだ。
「足を止めにきやがった!」
「素直そうな顔をして、なかなかいやらしい手を使ってきますね」
奴らまでの距離はあと
一か八か、この場から仕掛けるか? いや、行ける可能性もないではないが、それでは完全に
「ばっふ!」
見たところ、火柱の威力自体は大火球ほどではなさそうだが、真下から噴き上げる炎に対し、ベア吉の鎧も、【
おいそれと喰らってしまって良いような攻撃ではない。
こっちが足を止めたのに気をよくしたか、ヌッペラウオは、連射してきていた大火球に替わり、地面から噴き上がる火柱を連発し始め、ベア吉はカーゴを
目標地点に真っ赤な輪が描かれるという前兆があるため、
それどころか、じりじりと後ろへ下がらされている。
ふと気付く。
回避に集中しているベア吉も、カーゴの操縦をしている月子もまだ気付いていないらしい。
どうやら、この間断なく続いている火柱攻撃はたった一方によるものだったようだ……いや、それは今考えることじゃない。奴は何をしようとしている? 大火球を吐くときより更に大きく開けられた口で……。中に炎は見えない……が、よく見えれば、
「ヤバイ! 全力で防御……いや、逃げろおおおぉ!!」
絶叫に反応し、ベア吉とカーゴが火柱を大きく
見た目は小さな光の玉だ。
スピードも遅く、ゆるやかな山なりで投げられた野球のスローボールといった印象である。
【
――音も、形も、衝撃も、何もなかった。
――何も
音だと認識できない爆音、色や形だと認識できない爆炎、衝撃だとすら認識できない爆風……あまりにも強すぎたそれらを何一つ感じることさえできず、即席の
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