ゆめの なかで
泣き声にも似た歌声が、降り注ぐように響いている。
波間には破滅の光が輝いている。
爆発音が何度も響く。
幼子を抱きしめていた女は、ふとその手を離した。
奪い取るように、影が動いた。
影をきっとにらみつけ、指さそうとした女は、次の瞬間には影のことも幼子のことも忘れて、また歌い始めた。
すべてが泡沫のように胡乱である。少女であり母であり老婆である女は、神でも悪魔でもあるのだろう。
影は女に何か言い残そうとしたが、思いとどまった。
忘れることが幸いであることも、あるのだろう。すべてを破壊する女の幸せを願いながら、影は姿を消して、もうそこには何も残っていなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます