シーン12 第一章のおわり
かくして、第一章のオチがつく。
オチがついた後も高嶺主導による会議は続き、今は、
「もしもこの世界が『物語』ならば、登場人物が集まった今、次にはどんな展開が待ち受けているか」
という議題で盛り上がっていた。
「セットアップが終わったのだから、いよいよ『物語』の本筋が動き出すと思うわ」
『グタイテキ ニハ?』
「そうね……わかりやすいところだと、やっぱり、ザ・ヴィランって存在が現れて……それと戦う展開がいいと思うのよね。せっかく異能力の設定があるんだから、やっぱりバトル展開は外せないわ」
「そうなれば、我が異能の出番だな! どんな強大な敵が現れようとも、必ずや諸君らを守ってみせようではないか!」
「わ、わたしもぉ……微力ながらお力添えしますぅ……」
『イケタラ イクワ』
「頼もしいわね、みんな」
公人はすっかり不貞腐れてしまい、先程から不機嫌を隠そうともせず、頬杖ついて会議の行く末を見守っていた。
時計をちらりと見やると、あと二十分近く昼休みは残っている。今日はやけに時間の経過が遅いなと思った。
「みんなだったら、どんな敵と戦いたいのかしら?」
『オバケ ヨウカイ オンミョウジ!』
「そう、ですねぇ……わたしはやっぱり、戦うなら同じ魔法少女――じゃなかった、魔女と戦いたいですねぇ……」
「私は断然、戦うならば悪の組織だな! ワールドワイドで展開している組織ならば、尚のこと倒しがいがある!」
「手塚くんは、どうかしら?」
高嶺に意見を求められ、全員の視線が一様に集まる。
公人は怠そうに体を起こして、数々のヴィラン種が記された黒板を見た。
馬鹿らしいことだとは思ったが、公人は仕方なしに、その一覧にない存在を口にした。
「……巨大怪獣、とか?」
「あら、いいわね、それ」
高嶺のにこりとした笑顔と共に、外からぎゃおうと、獣の雄叫びのような声がした。
そして、第二章が始まる。
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