第39話
「まったく雪様は、何してるんですか?今日は、こんな喧嘩しにきたわけじゃないでしょうに、せっかく咲希様の提案でご招待してもらえたのに帰されていいのですか?」雪ちゃんがう〜と唸っている。
いやいやこれじゃどう見ても子犬だろ?雪ちゃんも撫でたら喜ぶのかな?
「雪ちゃん今日は来てくれてありがとうね。昨日は、大変だったけど今日からは俺とも仲良くしてくれると嬉しいな。」俺は、雪ちゃんを撫でながら話すと顔を真っ赤にして黙ってしまった。あらら静かになっちゃったな。
「ほらまた御兄様ったら何してるんですか?また雪をこんな風にしちゃってわかっててしてるんですか?本当に無自覚でしちゃってるんですか?」
え〜なんで俺は、いま怒られてるの?俺は、雪ちゃんに挨拶しただけなのにまったく納得出来ん。
「はい、それでは皆様は、あちらでお待ちになっててください。すぐにお茶を用意してお持ちいたしますので」美幸さんが、何事もなかったかのように話を進めていく。
案内されるがままに俺達は、リビングに集まり咲希自慢のソファーに座りながら美幸さんの入れるお茶を待っていた。
扉が開いた瞬間ふわっとなんともいえない香りが、漂う。うわっただのお茶のはずなのにこんないい香りがするんだ。どうしたら、こんなお茶を入れることが出来るんだ?
「さすが美幸さんですね、こんな香りのするお茶を入れれるのは私のしる限り美幸さんだけですね」
「ありがとうございます。咲希様も相変わらずお茶などを選ぶセンスはさすがですね。入れながら私も仕上がりが楽しみで堪りませんでした。きっと本日用意したお菓子に合うかと」よし、これで全員揃ったことだし、話を進めることが出来るな。
「それじゃ集まったことだし、私と御兄様の、現状とこれからのことについて話しましょ」咲希は、俺が現当主との血の繋がりのこと、昔俺に助けてもらったこと、お互い血の繋がりはないけど義兄妹になったことをゆっくり話してくれた。みんなは、静かに話を聞いてくれて、現状を理解してくれた。
「なるほど、一緒に住むまでのことは、理解できました。では、咲希ちゃんに質問ですが今優斗お兄ちゃんの部屋を用意中と言っていましたが、寝る時はどうしてるんですの?」うわ〜雪ちゃんそこをストレートに聞いちゃうのか。ちなみに雪ちゃんが、俺の名前を知ったので、優斗お兄ちゃんとの呼び方で決まった。美幸さんはそのまま優斗様になった。
「それは、決まってるでしょ。私の大事な御兄様なんですから家具が揃うまでは、私と一緒のベッドで寝てもらうに決まってるじゃない。兄妹なんだから何も問題ないわよね」咲希も、結構無茶言うな。兄妹理論でも男女で高校生と小学生じゃアウトにならないのかな?
「たったとえ兄妹であってもそれは駄目なんじゃないの?咲希ちゃんがいいなら、私とだって一緒にお昼寝とかしてもいいってことだよね?」いやお二人さんそもそも俺の意思はどうなるのかな?
「優斗お兄ちゃんも私とお昼寝してみたいよね?咲希と寝てるなら私とも寝てくれるよね」そんな構ってほしくて見上げて来る犬みたいな顔はやめてくれよ。尻尾がしゅんとなってるように見えてくるじゃないか
「御兄様、御兄様はやっぱり雪ちゃんと寝たいですか?私じゃ物足りないですか?御兄様が望むなら何でもしますから私を捨てないでください」何言っちゃってんの咲希は?ほら、美幸さんの俺を見る目が段々と怪しい人を見る目になって雪ちゃんを守るように抱きしめてるじゃん。ごっ誤解ですからそんな警戒しないでくださいよ。
「ちょっと待って二人共、そもそも二人と寝る前に源じーさんに、頼んだ家具が来るまでの間仕方なく咲希と一緒に寝てるだけで」二人の目が変わったように見えた
「御兄様、私と寝るのは仕方なくなんですか?御兄様は私のことどうでもいい女なんですか?」
「優斗お兄ちゃん仕方なく咲希ちゃんと、寝てるの?こんなに私達お兄ちゃんのこと思ってるのに」怖い怖いよ、なんで二人共こんな迫力があるの?逆になんか思って寝るのも問題あるんじゃないの?
「二人共落ち着いてください。優斗様は別にお二人がどうのこうの言っているわけではありませんから、お二人があまりに魅力的な女の子なんで、何も言えずにいるんです。いい女でしたら、男のそんなとこも黙って理解してあげるのが甲斐性じゃありませんか?」
「そうですね。ここで御兄様に詰め寄っても仕方ありませんね。」
「うん、大丈夫。私は、優斗お兄ちゃんのこと信じてるから」よかった二人共落ち着いてくれたみたいだ。やっぱり美幸さんは頼りになる大人の女性だ。
「優斗様お茶切れちゃいましたね。お代わり入れますね」美幸さんが空になったカップに気づきお代わりを注いでくれる。注ぎながら俺だけに聞こえるように(雪ちゃんとも今度お昼寝してあげてください。やっぱり咲希様みたいに一緒に寝るのは憧れてるみたいなんで)
美幸さんもやっぱり侮れないな。こうやって雪ちゃんのフォローしっかりしてくるんだから
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