第33話

まったく御兄様と来たら、天然スケコマシなんですか?人に、優しいのは御兄様の素敵なとこですよ。それは、私も認めま・す・が、あのタイミングでナデナデされながら優しい言葉をかけるのはどうなんですか?

 あの御兄様を、見て真っ赤になりながらうつむきつつ、御兄様を見つめるあの目は、どう考えても、恋する乙女の目でした。同じ恋をする私には、分かります。せっかく仲直りした矢先に新たなトラブルの種を生み出すなんて、しかも自覚はないし、これは、話すことも出来ない。八方塞がりですね、は〜、なってしまったのは仕方ありませんし、これは、またその時に、考えましょ。


さて、咲希もだいぶ落ち着いてくれてよかった。一時はどうなるかと。それにしても、雪ちゃんだったか、いい子なんだろうけど、インパクトが凄かったな〜。

 まさか、あの咲希をあそこまで怒らせるなんて、今考えてもあの時の咲希は怖かったなー。俺も、怒らせないように気をつけよう。

 さて、次はウィンドウショッピングでよかったかな?咲希も言っていたし、それに初デートらしいから記念になるものを買って、いい思い出にしてあげたいな。

 それにしても、咲希はどうしたんだろう?今は、雪ちゃん達から離れて目的もなく歩いているんだが俺をみながら、ムスッとしたり、ため息吐いたり、赤くなったり、見ていて飽きないくらい色々な表情を見せている。ため息つかれたのは、なんか嫌だったが俺が、なにかしてしまったんだろうか?特になにかした覚えはないんだが。


「それじゃ残り時間気分を切り替えて一緒に、楽しく色々店をみていこうか?それで、今日の記念になにか二人だけの物を買って行こうか?初デート記念にさ」うわ〜何いってんだよ俺、言ってから恥ずかしくなってきた。恥ずかしくなるくらいなら言わなきゃいいのに。咲希も、反応に困って何も言ってくれないし。

 俺は、咲希を恐る恐る見ると、口をパクパクさせながら一筋の涙を流していた。

 待って待ってなんで泣くの?俺本当になんか悪い子としちゃった?


「ごめんなさい御兄様、泣いてしまってびっくりしてしまいましたよね。大丈夫です。御兄様は、悪いことなんてしていませんよ。これは、つい嬉しくて流れてしまったんです。でも、いいんですか?御兄様初デート記念なんて言ってしまって。私信じちゃいますよ?」


「咲希は、大事な妹だし、初デートっていうのは本当だしね。咲希こそ初デートが、俺なんかで良かったの?咲希は、こんなにかわいいんだし、きっと俺なんかより」良い人がって言いかけた時、咲希が俺の手を両手で握ってきた。


「御兄様だからいいんです。御兄様とのデートが私にはどんなプレゼントよりも嬉しいものなんです。ですから、今日は二人の初デート記念日にさせてください」俺は無言で咲希の、涙を拭いナデナデしながら抱き寄せた。

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