第20話

「嫌なわけないよ。ただ今まであまりこんな経験ないから戸惑っちゃうだけだから」


咲希は笑顔になり、裾を握る手が離れ抱きついてくる。

「だったら、これからは、たくさん私と仲良くして慣れていってくださいね。御兄様にも、いつか抱きしめてもらいたいです。」


俺は、苦笑いをしながら咲希の頭をゆっくり撫でる。

「今は、これで我慢してくれ。慣れていったらもしかしたらこれ以上も、出来るようになるかもしれないから。」


「はい。慣れてくれるの楽しみに待ってますね。これからは、一緒ですから、時間はたくさんあります。さっそれでは、ご飯にしましょう。簡単ではありますが御兄様の為に作ったのでぜひ食べてください。」


お風呂からあがり大分体の火照りも収まってきたし、ご飯には、ちょうどいいタイミングだ。さて、どんなご飯かな?

 咲希に案内されて行ってみると、そこにはシンプルながら見ただけで美味そうだと感じる食事が用意されていた。なんだろう?どう表現したらいいんだこれは、the和食って感じだろうか。お刺身に、冷奴、肉じゃが、味噌汁、サラダと用意されていた。刺し身なんか、今までスーパーとかで見た高いやつなんかよりも更に高そうな感じがする。こんな晩御飯今まではじめてだ。


「さっ御兄様食べましょ。今日は、せっかくの二人での初めての食事ですから、ちょっと豪華にしてみました。お刺身と冷奴はもちろん買ったやつになりますが、肉じゃがと味噌汁は、私の手作りですよ。お母さんから教わった特製の肉じゃがです。味もしみているので楽しみにしてください。味噌汁もちゃんと出汁から取ってますから自信作ですよ。冷めない内に食べましょ。いただきます」


まさに、至福と言えるひと時だった。つい美味くて3杯もおかわりをしてしまい、いまはお腹がパンパンだ。


「あんなに美味しそうに食べてもらえるとやっぱり嬉しいですね、それに一緒に食べるご飯はやっぱり楽しいです。一人で食べることも多かったので。これからも、私にご飯は、任せてくださいね。もっともっと御兄様好みの味を作れるようになっていきますから」


「そうだな。咲希のご飯美味しくてつい食べすぎちゃったからな。でも、たまには、一緒に作ったり俺が、作るよ。咲希が、頑張ってる姿を今日見たし、俺だけが、甘えてばかりいるのは気持ち的に落ち着かないからさ。

 それに、さっき言っただろ、一緒に食べるのは楽しいって。なら一緒に家事するのも楽しいはずだから。」

 俺は、ソファーで咲希と横に座り、頭を撫でながら今日一日頑張ってくれた咲希をねぎらった

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