第11話

痴話喧嘩もやっと収まったのか。荒れて息を整え服を正し、当主はこちらを見つめる。


「さて済まなかったね。おまたせしてしまって、こちらから呼んだのに申し訳ない」と腰から頭を下げながら、謝罪されてしまった。

 申し訳ない気持ちになり、下がっていた頭を上げてもらうと、恐縮しながらなにを話せばいいか頭から飛んでいた。


「君はどこまで咲希から話をきいて納得してるかな?」


「納得出来てるとこは今のところ一つもなく混乱しているのが現状ですね」俺は素直に答える 変に考えて答えるよりよっぽどマシだと感じたからだ


「時間が許すかぎり君の疑問には答えるよ、まずは私が君を呼んだ理由も話さなくてはならないね。 まず一番の疑問であるだろう君が私の子供だという所から話そうか」


俺は静かに頷き答えを待つ

 

「君のお母さんと私は以前付き合っていて結婚寸前まで話が進んでいたんだ。その時我が社は急成長で忙しい日々を過ごしながらも愛を育んでいた。

 だが会社が成長するにつれて、周りが私達の関係を許してくれなくなっていった。私だけならなんとかなったかもしれないが、その矛先は、次第に彼女にも向いてしまった。

 そんな日々がしばらく続き、私が正式に会社を継ぐことが決まった時、彼女の方から急に別れを告げられ、止める暇もなく関係が終わってしまった。  その後会社を引き継ぎ、仕事も落ち着いてきた時に聞いてしまったんだ」


「社長の前の彼女さん、一般人と社長とでは身分が違いすぎて、社長の足手まといにしかならないから社長な前から消えてくれって、周りの役員から毎日隠れて言われて追い込んで別れさせられたんですって」


「その話を聞き、彼女が急に別れて目の前から消えてしまった理由がわかったんだ。彼女は私の為に、別れたんだと その後私の持てる力を使って彼女を必死に探し見つけた時には事故で亡くなったと分かった。

 私は途方にくれたが何か出来ないかと彼女の母の元に行ってみた」

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