第12話

「彼女の母を訪ねに行った時、私は一度だけ君に会っているんだ。一瞬だったし覚えていなくてもしかたない」


俺は両親が、亡くなってからしばらく塞ぎ込んでいた時期があったからその時の出来事なのかもしれない。


「君の祖母は私に恨み言を言うわけでもなくただ線香をあげてやってほしいと墓前に案内してくれたよ。 

私は、彼女を引き止められず別れてしまい、会社が忙しかったとはいえ何も知ろうとしなかったのに。              

 彼女が実家に帰ってきて、しばらくしてから妊娠がわかったらしい。もし、その時私のとこに来てくれたらなにか変わったのかもしれないと思う時があるがそれは無理なことだ」


きっとその出来た子が俺のことなんだろう、別れた後に妊娠発覚ならしかたないのかもしれない。この様子だと妊娠を本当に知らなかったみたいだし


「その後、君が産まれる前に以前から、君のお母さんに惚れていた君のお父さんがシングルマザーになり大変な目にあうのを見たくないと必死に説得して結婚して君が産まれたそうだ」


「君が18を超えたら産まれのことを説明しようと祖母には話していたらしい。その後どうするかは君次第だと それまでは誇れる両親としての姿を見せてあげようと。

 それなのに、君が18になる前に事故が起きてしまい、祖母と二人になってしまったのだ。それから少しして、祖母から私に連絡がきたのだ。君が私の息子だという話と、私もいつまで一緒にいれるか分からないから、なにかあった時は君を頼みたいと」


なんだよばーちゃん、そんな話一言もしてくれなかったじゃん。今その話を、聞かされてもなにを信じていいか分かんねーよ。でも、この人は、大企業の当主という立場があるのに、俺のことを見ていてくれて今俺を救おうとしてくれているんだ。

 全部をすぐには受け入れられないけど、とりあえずは納得しよう。ここで、信じられないと逃げ出しても、事実は変わらないし、今の俺には頼りになる大人の人が必要なんだ。








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