第9話

車が目的地に着いたのか止まり、ガチャっと音がなり運転手がドアを開けて俺は外に案内される。出ると、そこには首が痛くなるほど見上げなければ頂上が見えないビルが建っていた 


入社出来たら人生の成功者だとも言われるくらいの大企業らしく本社の建物は立派だと言わざる負えなかった。


見上げて少ししたら咲希が目の前に立ち、入口に誘導してくれた。幼女に案内されるこの姿は何なんだろうか、周りからどんなふうにみえているんだろう?


入口に近づくと、受付嬢が気づいたらしく慌ただしく周りに声を掛けているのが見える、何かあったのだろうかと観察していると入口を囲むかの用に整列し始めた。俺は今からあそこに行くと思うとげんなりしてきた。


「お帰りなさいませ お嬢様」「お帰りなさいませ 咲希お嬢様」と入口にいた受付嬢から、周りの社員らしき人たちがこちらに向かって礼をしたきた。俺はあまりの光景にちょっと引き気味になった。

 なにせどう見ても幼女な子供に大人が頭を下げているのだ。


咲希は、その光景に何も反応せず周りを見て一人の男性社員を、見つけこちらに呼んだ。「Pプロの件で後で話があるので主要メンバーに声をかけておいてください。私はこの方を当主様の元に案内してからそちらに向かいます」それを聞いた社員はお辞儀をしたのち、駆け足で奥に帰っていった そして周りの社員は先程の当主の元に案内ときいてざわざわしはじめる。


パーンと周りに手を叩いた音が響く。周りの視線が一瞬で咲希に集まる、咲希が両手で思い切り手を叩いたのだ


「さー皆さんまだまだ仕事はあります。頑張りましょう、彼のことは後日、皆さんに説明する時間をとります。今は目の前の仕事を、終わらせましょ」


う〜、恥ずかしい御兄様の前で皆さん集まってお嬢様とか号令されてしまいました。こんなことなら事前に私を見ても、集まったりせず仕事を、続けるように指示をしておくべきでした。

 それにしても、御兄様を当主様に案内すると言った時の反応、あれは早めに皆さんに説明をしないと、つまらない探りを入れられて、しまいには御兄様の迷惑になる可能性もありますね。対策を考えておきましょう。




そして咲希は何事も無かったかのように再び先を歩き案内を再開したのだが、俺には、聞き捨てならない言葉があった。


今、俺のことを後日、説明をするとか言ったよね、絶対言ったぞ。俺これからどうなるのかまったくわからないのに、話だけが、どんどん進んでるよ。こうなったら、今から会う当主に根掘り葉掘り聞けるなら聞いたほうが良さそうだな。俺だけ、置いてけぼりで、話が進むのは困るからな。





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