第8話

「では簡単に説明させていただきます。御兄様は有栖川財閥当主の息子だと判明いたしました。ですので血のつながりはないですが、私は御兄様の妹、義妹になります。御兄様」


なにを言ってるんだ?この幼女は、俺にはちゃんと両親がいてここまで立派に育ててもらったんだ。

 なのにいきなり両親は、偽物みたいなこと言いやがって。内心怒りが込み上げてきて顔にも出ていたのだろう。


「ここで一ついっておきますが御兄様を育ててくださった両親が偽物とかいうつもりはございません。 御兄様は顔にすぐ出ちゃうんですね、言わなくても感情がこちらに伝わってきました。顔は口ほどものを言うと聞きましたが納得ですね。さてまもなく目的地になります。

 詳しい話は当主様にお聞きください、御兄様」何事もなかったかのように涼しい顔でこちらを見る。 


どうしよう、どうしよう。御兄様を怒らせてしまいました。でも、これは言わないといけない大事なことだったんです。

 それに、私は御兄様をここまで育ててくれたご両親とお祖母様には、感謝しているんです。ご両親はもとよりつい先日なくなってしまったというお祖母様には、ぜひお会いしたかった。私の御兄様になる方をここまで大事に育ててくださってありがとうございますと感謝を伝えたかった。私の見た目とこの年では何を言ってるんだろうと不思議がられるだろうが、そんなものは関係ない。ご両親やお祖母様さまのおかげで私は、御兄様に救われたのだから、今度は、私が御兄様を救う番だ。今の私なら昔は出来なかったことも可能にできるんだから。


車の中は、目的地に着くまで無言だったが咲希だけは、やっと会えた御兄様とドライバーを除けば二人きりだったので満ち足りていた。

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