第24話 練習も大事 癒しも大事

文化祭も近づきバンドの完成度も高まってきた頃、僕たちは練習漬けになっていた。

今日も音楽室でバンドの練習をしていた。

「よし!だいぶまとまってきたな」

「そうだね、最初は全然バラバラだったのに、今じゃもう完璧だね」

バンドでは陸に小春が合わせそれに僕らもついて行くような演奏をしていて二人には練習中何回も助けられていた。

中でも急に入ってくれた鶴見君はギターも上手いが歌うのも上手いしもう完璧だった。

そんなことを考えているとふと、陸が時計をみると「あっ!」

と何か思い出したように声を漏らした。

「小春!時間が!」

「えっ!?もうそんな時間?」

二人は時計をみるとバタバタと荷物を片付け始めた。

「どうしたんだ?そんなに急いで?」

「今日は久しぶりに親がこっちにくるんだよ」

「そう言うことなので、お先に失礼します!」

そう言ってバタバタと二人は音楽室を後にした。

あの二人がいなくなってちょっと静かになってしまったが珍しく鶴見が話しかけてきた。

「あの〜凪先輩?ちょっと聞きたいことがあるんですけど〜」

「なんだ?僕が話せることなら聞いてくれ」

鶴見はもじもじとしながら「引きませんよね」と念を押して聞いてきた

「あの、先輩と森山さんってどんなふうに付き合ったんですか?

俺、そう言うのが好きで、聞きたいんですよね」

そう言うと、ちょっとしたメモ帳を取り出した。

「話すのはいいんだけど、そのメモ帳はなに?」

「いや、聞くのも好きなんですけど自分でそう言った小説を書くのも好きなんですよ」

そう言って目をさらに輝かせていた。

「なあ、僕はいいけどあかりはどうする?」

「私もいいですよ、私も小説は好きなので、今度書いた小説読ませてください!」

「いいですよ!」

「じゃあ、話そうか」

僕はあかりと一緒にこれまでのことを話し始めた。

話しながら考えてみると、本当にいろんなことがあったんだな〜と感じてしまった。

話し終えると鶴見君はちょっと感動したような顔をしていた。

「先輩、そんな物語みたいな恋ができるなんてすごいですね〜

ちょっと感動しちゃいましたよ!

意外に森山さんから始めたんだね〜

ちなみに、嘘じゃないですよね」

「嘘なわけないだろ」

「そうですよ、この関係になっているのは言っているように私からなんですから」

ちょっと鶴見君のメモ帳をみると2ページに渡ってびっしりと僕たちの書かれていた。

「先輩、恋愛話ありがとうございます!森山さんには今度、小説見せますね」

「ああ、こちらこそ」

「小説待ってるね!」

鶴見も帰る準備が終わり手を振って音楽室を後にした。

「先輩、私たちも帰りましょうか」

「そうだな」

僕も楽器を片付け、帰る準備をしようとするとあかりが急に服を引っ張ってきた。

その時、僕は体勢を崩し、あかりの膝の上の倒れ込んでしまった。

「凪先輩、最近疲れてますよね」

あかりはぽんぽんと僕の頭を撫でてきた。

その、手は柔らかくとても温かく優しかった。

「最近、先輩は部活に勉強、自分の家のことやバンドの練習まで

予定が詰まっていますよね」

あかりの手は髪を触り始めたがそれがとても気持ちが良く学校何に寝てしまいそうだった。

「凪先輩、お疲れ様です」

「あかり、ありがとう、おかげで頑張れそうだ」

そう言うと、あかりは嬉しそうな顔をして軽く唇を合わせてきた。

「これからもよろしくお願いしますね」

「ああ、こちらこそ」

その後、あかりと一緒に下校時間に間に合わなかったことで怒られてしまった。


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