第13話 進展とあかりの家族

陸との海に来て二日経ち先にあかりと先に帰る日付になった。


「じゃあ、ありがとな、陸!」


「小春さんもありがとうございました」


「あかりちゃん〜また学校会おうね〜」


と言って小春があかりに抱きついていた。

それを見ていた陸が首根っこを掴み猫のようにあかりから引き離した。


「ごめんな、なんでか知らんけど、小春スキンシップが強くなったから、森山さんも学校で気をつけなよ」


「はいっ!学校で会えるのを楽しみにしています」


そんな話をしていると電車がホームに入ってきた。


「じゃあ、また今度!海楽しみなよ陸!」


「ああ、そのつもりだ」


そう言って電車に乗り込み二人が見えなくなるまで手を振った。

電車の中で二人は隣に座って海での思い出を話していた。


「あかり、どうだった、海は?」


「ええ、とても楽しかったですよ、でも、疲れましたね」


そう言って肩に顔を寄りかかってきた。

僕も最近は慣れてきておりあかりが来てから本当に女性に慣れたと思う


(あかりにはいつももらってばっかりだな)


そんなことを考えながらあかりをもう一度見てみると目を閉じてぐっすり眠っていた。


「疲れたんだろうな、、」


そう呟いてそっとその寄りかかっている頭を撫でた。


駅に着きあかりを家まで送ることになった、凪はあかりと横並びで歩いていた。


「先輩、わざわざ送らなくてもいいんですよ」


「心配なんだよ、姉ちゃんのようなこと僕何回も見てるから」


「心配してくれてありがとうございます!そういう所が先輩の好きな所です」


「とはいえ、俺らが付き合い始めてもう三ヶ月か、長くは感じなかったな」


「私もですよ、やっぱり先輩といると心地いですからね、先輩も私が触れても何も起きなくなったじゃないですか」


確かにあかりといることで今まで全く治らなかった女子嫌いが

ここ三ヶ月でみるみる治っていくことには自分でも驚いた。


「まあ、あかりのおかげかな」


「初めはオッケーされた時嬉しくて抱きついちゃって、

それから一緒に帰る時も距離をとって並んで帰ったり、

でも私の猛烈なアピールで治っていったんですよね」


「でも最近やっと手も繋げるようになったからな」


実際今もしれっとあかりと繋いでいた。


話してるうちにあかりの家に着き、見送って帰ろうとしたらあかりが繋いでいた手をそのまま引き玄関まで連れてこられた。


「あかり、流石に家に上がるのは、遠慮するよ」


「え〜いいじゃないですか、時間もお昼頃ですし、家で食べて行きませんか」


その時に外の会話が聞こえたのか玄関が空き、あかりの母親が出てきた。


「あかり、帰ってきたなら騒がず早く上がりな、、、」


あかりの母親は僕を見ると話すのをやめ、じっと見つめてきた。


「どっ、どうも、初めまして」


「こんにちは!もしかして、うちの子の彼氏さん?」


「そうだけど何か?」


あかりはニコニコしながら聞いてきた母親に横から入って反論した。


「別に、ダメってわけじゃないのよ、ただ、、」


「ただ?」


「あかりよかったわね。かっこいい人、彼氏にできたじゃないの、

さっ、上がってちょうだい、話も聞きたいしお昼頃だからお腹も空いたでしょう」


と母親に言われるがまま家にお邪魔させてもらった。


「あかりも彼氏さん連れてくるなら言いなさいよね!

そしたら昼ごはんももう一人分作れたから」


そう言って慣れた手つきで並べてあるサンドイッチを作り始めてものの

三分程度で僕の前に出された。


「じゃあ早速、彼氏さんのこと、聞かせてもらおうじゃないの、ねえ名前はなんていうの」


「あっ名前は、江頭凪って言います、凪って書いて凪です」


「へ〜江頭凪くんね、、でっどっちから告白したの?!」


「もう!ママもそんながっつかなくてもいいでしょ!」


「だって、私の娘が恋してるのよ。それくらい知りたいのよ」


あかりは聞かれるのが恥ずかしくなったのかサンドイッチを食べて部屋に行ってしまった。

あかりに呼ばれてきたのにあかりがいないと何のために僕はここにいるのだろうか


そんなことを考えてるとあかり母からまた聞かれた


「どっちから付き合ったの?」


「一応、あかりさんから言われましたね」

あかり母はキャ〜と黄色い歓声を上げながらまた次々と聞いてきた


「あかりもそんなに成長しちゃって、前までは言い出せない子だったのに」


「そうだったんですか?」


「ええそうよ」


あかりの母は懐かしいように話す


「もともと、あの子自分の気持ちを言えない子でね言おうとしても


照れ隠しで全く思ってもないことを言っちゃってこともあるの」


「そうなんですか」


「確か、小学校の頃、好きな子に思いを伝えようとして呼んだのに、言えずに返しちゃったって言ってたから」


「いわゆる、ツンデレってやつですかね」


「そう言えるわね、あの子、今凪くんにべったりなら、何があったのかしら」


「かもしれないですね、じゃあそろそろ帰ります、サンドイッチ美味しかったです」


「あの子、降りてこないわね。凪くん帰るそうよ〜」


するとドタドタと階段を急いで降りてくる音がしてきた。


「先輩、帰るんですか」


「ああ、あんまり長居も悪いと思ったし」


「え〜そんなんですか」


「まあ、家も近いし、何かやりたい時は連絡してくれ」


「うん!」


「まあ、青春ね!」


あかり母がそう言うとあかりは顔を赤くして手で覆い隠した。


「じゃあまた」


「ありがとね〜」


あかりと母は手を振って見送ってくれた。


その日の夜、森山家


「そういえば、あなた、あかりに彼氏ができたの」


「かっ彼氏?!どっどんなやつだった?!」


「優しくてとてもいい人でしたよ」


そう言ってこっそり凪の写真をあかりからもらっていたものを見せた。


「この子か、今度話がしたいな」とまるで悪役のような顔をして言った。


「はっ、、クシュン!誰かが噂してるな」


と凪は寒気を覚えるのであった。






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