第14話 森山家との対面
夏休みも終わり頃、あかりから家に来ませんか?というメールが送られてきた。
僕は夏休みの部活もなかったのであかりのうちへ向かった。
チャイムを押すと、あかりが出迎えてくれた。
「あっ!先輩!さっ上がってください、今日は家には親はいないので何も聞かれませんよ」
「そうなのか」
とこの前とは違いあかりはウキウキで自室に向かう。
「ところで僕をなんで呼んだんだ?」
「それはですね〜」
笑いながら何か袋から、がさごそと出し始めた。
「この、この前買った服がどうか感想を聞くためですよ」
そう言って袋から二、三着の服を取り出した。
この服は凪の姉、結菜に選んでもらったものである。
「じゃあ着替えるので少し、後ろを向いていてください、
絶対にこっち向かないでくださいよ!」
と念を押して言ってくるがそもそも見るつもりもなかった。
始めに見せられたのはふわっとしたワンピースだった。
「どうですか?」
「うん!似合ってると思うよ」
あかりは満面の笑みを浮かべてまた次の服に着替え始めた。
次の服はボーイッシュな格好だった。
「これはどうですかね、ちょっと自分では似合わないと思うんですけど」
もじもじしながらあかりは言うのだがすっごい似合っていた。
「いいと思うけどな〜あかりはそんな服も似合うんだね」
「へへ〜ありがとうございます」
ここで凪は気づいてしまった。
家には誰もおらず何にも音がしないのですぐ後ろの衣類が擦れる音が
ものすごく聞こえることに。
それともう一つ、凪は姉の服選びには付き合っていたがどう答えたらいいのかが分からずものすごく困惑していた。
悩んでいると一階の玄関が開く音がした。
「ただいま〜あかり〜早く帰ってきちゃったよ〜」
「ただいま、あれっ?こんな靴あったかな?」
「あっ!多分、凪くんのじゃないかしら」
「凪くん?あ〜あかりの彼氏のことか」
着替えている最中にそんな会話が聞こえてきて、
あかりはとても驚いたような顔をしていた。
「なんでパパとママ帰ってくるのが早いのよ!
今日は夜まで帰らないって言ってたじゃない」
そんな愚痴を漏らしながらも一階に降りていく。
部屋には僕一人が取り残された。
「あっ、、パパ、ママおかえり」
「ただいま〜、あかり、凪くんと何してたの?」
「勉強会だよ〜わからないところ教えてもらってたんだ〜」
と髪をくるくる指で回しながら言っていた
「あかり、嘘つかなくていいのよ、何をしてたの」
「えっ!なんでわかったの?」
「当然よ、これでもあなたの母親ですから」
「あかり、何をしてたんだ、」
あかりが恥ずかしそうに下を向いていたので、父親の視線が僕に向いた。
その視線はうちの娘に何をした、とゴゴゴゴゴと威圧しているようだった。
「あの、、あかりさんに呼ばれて服を見ていたんです。こちらも何も言えずにすみません」
「あ〜ね〜、、あかり〜恥ずかしくても言うんだよ〜」
「は〜い、じゃあ先輩戻ろう〜」
あかりに言われ戻ろうとするろ後ろからギュッと肩を掴まれた。
「あかり、凪くんを少し貸してくれないか、ちょっと話したいことがあってね」
顔はニコってしていたが作り笑顔だとすぐにわかった。
僕、殺されるのかな、そんなことも考えながらリビングへ向かった。
リビングではあかりの父親とテーブルを挟んで二人きりになってしまった。
数秒、何も話せなかったがあかりの父親が先に話し始めた。
「君があかりの彼女の凪くんだね、妻から少し話は聞いたよ」
「そっそうですか」
緊張してオドオドした受け答えになっていた。
「始めはあまり人との関わりが苦手だったあかりに彼氏ができたと聞いた時は驚いたし、
心配もしたんだよ、でも妻から話を聞いたり見てわかったよ。
君はいい人なんだなって」
顔を見るとさっきの威圧の顔はもうどこにもなく安心した表情になっていた。
「そう言われて僕も安心しました」
「でも、あかりを泣かせることは許さないからな」
「はい!そんなことはないです」
「その言葉が聞けてよかったよ」
そう言うとあかりの元へ返された。
凪が父親と二人で話している時
「先輩大丈夫かな」
「大丈夫よ、どっちもあなたのことが大切なんだから」
「そうだよね」
「あかり?入っていいか?」
「いいですよ」
「じゃあ私は出るわね、二人で楽しみなさい」
また二人の時間が始まった。
「本当、誰に似たんだか」
「あなたじゃないの、始めは高校生の頃あなたから告白したんだから」
「そうかもな」
こっちもこっちで仲良しだった。
人物名簿
本編に関わりはありませんが書いておきます
あかりの父親 森山宗馬 もりやまそうま
あかりの母 森山梨花 もりやまりか
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