第10話 海を楽しむ前に

高校も夏休みに入り、僕と陸とあかりで海に向かっていた。


陸から聞いた話だと陸の家はちょっとした別荘を持っておりそこに泊まってもいいのだとか

僕だけじゃなくて、あかりも誘ってくれる、陸には感謝がしきれない

そんな事を考えていると電車の窓から海が見えた。

「先輩!海ですよ!」


「やっと着いたな!」


「そうだね!」


電車に揺られ、1時間半くらい経ってやっと山から抜けたので

三人は歓喜の声をあげていた。


「それにしても、遠くないか」


「仕方ないだろ、俺らの実家からもちょっと離れているんだから」


そんなこと言ってると、目的地の駅に着いた。


「じゃあ、降りるか」


そう言って、陸は腰を上げた。

駅のホームに出ると目の前には砂浜と海が見えた。


「きれ〜!」


「そうだろ、ここの海は観光客も来るがそんなに砂浜も汚れていないんだ」


「そうだったよね、いや〜久しぶり来たな〜」


海を眺めてながら改札を通り駅を出るとちょっとした街が広がっていた。


「確か、この辺りに親が待ってるはずなんだけど」


「おっ、あれじゃないか!」


僕が指さすと、陸も気づき手を振った。


「お〜い!母さん!小春!」


二人も気付いたのかちょっと小走りで向かってきた。


「母さんに小春!久しぶり!」


「おかえり、陸、それと、凪くんじゃないの」


「こんにちは、お母さんに小春さん」


「それと、そちらの方は、もしかして陸の彼女?」


陸の母さんはきゃ〜と言いながら小春と話している。


「違うよ、母さん、こいつは凪の彼女だ」


「え〜違うのね〜ちょっとがっかりしちゃったわ」


ちょっとしょげていた母さんだったがすぐにあかりに向かって話しかけた。


「こんにちは、凪くんの彼女さん!お名前は何て言うの?」


「初めまして、森山あかりです」


「こちらこそ初めまして、あかりちゃん

それと後ろにいるのが陸の幼馴染で今はうちに住んでいる小春ちゃんよ

仲良くしてあげてね」


そんな感じな絡みを見ていると陸の母さんの後ろの


陸の幼馴染の小春が安心したような感じがした。


何となく、僕はわかった。


小春っていう人、陸のこと好きだな


自己紹介も終わり早速、泊まれる陸の別荘へ向かった。


「じゃあ、悪いけど四人は一緒の部屋でいいかな?ちょっと部屋数が足りなくて」


そう言われて案内された部屋は広々としていて四人が寝るにはちょうどよかった。


「俺は問題ないですけど」


「私も大丈夫です」


「私も」


「俺も問題ないぜ」


四人が同意すると、陸の母親は安心したようにリビングへ向かった。

凪達が景色などを見るために部屋を出て部屋に残ったのは小春と俺だけだった。


「そういえば、陸、ここに帰ってくるのって」


「半年ぶりだな、正月には帰ってきてるよ、去年はまあ赤点取ってちょっと遅れたけど」


小春は俺の幼馴染で今は俺の親に引き取られている。

小春は子供の頃事故で親を亡くして引き取りてがいなかった。

それを知っていた、俺の母親が小春を引き取る事にした。


「お前もこっちの高校に来ればよかったのに、なんでこっちの高校に残ったんだ?」


「なんか、こっちに残りたくて、ここならお父さんもお母さんもいるし」


そう言うと小春は立ち上がって


「こんな、ところに来てまでしんみりすることはないよね、

さっ!私たちも景色見に行こう!」


「そうだな!」


小春と俺は少し話して凪達の後を追った。


「お〜い凪!いたいた!」


凪達は砂浜で少し波に当たっていた。


「陸、やっときたのか」


「ちょっと久しぶりに小春と話してて」


「そうか」


そう言うと陸も波に当たってきた


「気持ち〜小春もどうだ?冷たくて気持ちいぞ!」


「じゃあ私も入ろうかな」


そう言いながら四人は海を少しだけ楽しんだ。

帰ると陸から明日の海の家の仕事について説明があった。

僕らは慣れていないので話せるあかりはウェイターであまりできない俺は裏方の皿洗いと

料理の手伝いになった。

どちらも1時間くらいの仕事だったので終わったら遊びに行っていいそうだ。


「じゃあ、決まったことだし、陸も同じくらいの時間にしたら?

せっかく友達来てるんだから」


「いいのか!母さん!」


「ええ、いいわよ」


陸達も僕らと同じくらいになったので一緒に楽しめるようだ。

明日が楽しみな四人なのであった

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