第7話 後輩は触れたい

先輩と付き合って約二ヶ月になりました。

ですが今でもキスどころか手さえ繋げていません。

確かに時間をかけて近づいていきましょう、と言いいましたがこんなにも時間がかかるとは思ってなかったです。

この前も、勉強会をした時も本当は手でも触ろうかなと思いましたが先輩が怖がると思ったので踏み込めませんでした。


そんな中、今日も先輩と一緒にお昼を食べているので今回こそは距離を近づけたいです。


「先輩、ちょっと女の子になれる練習しましょうよ」

ちょっと先輩は嫌な顔をして少しずつ私のところから離れていく。

「先輩!何で逃げるんですか」

「いいけど見られるのが嫌で、、」

と言ってもっと離れていく

「言っちゃ悪いですけど、そんなんじゃいつまで経っても手さえ握れないですよ」

それはそうだけど、、ボソボソと何かを先輩は言っていましたが

今回は悪いですけど押し切りさせてもらいました。


私と先輩が弁当を食べ終わってから少し経って

「じゃあ、先輩、まずは少し目を瞑ってください」


「わかった」


先輩が目を瞑った時に少しだけ手に触れてみる。

すると先輩がびくっと体を跳ねさせた。

「ごめん、やっぱり無理かも」

「いいえ、続けます。目を瞑ってダメなら目を開けてください!」

次は目を開けて少しずつ触れてみる。

先輩が手をずらそうとし始めたら


「先輩、私の目をしっかり見てください。昔のトラウマがあるなら私が助けますから、

怖くないって思ってください!」

私は先輩の目をじっと見つめる。

先輩は少し目を逸らそうとしましたがしっかりと私の目を見てくれました。


「先輩がまた、トラウマを思い出すなら、

私が絶対に女子はみんながみんな、そんな人じゃないんだってことを教えてあげます。

なので、私の手を安心して握ってくれますか?」

それだけ話すと先輩はゆっくりと私の手に指を触れてそっと握り返してくれた。

「ありがとう、あかり、おかげでちょっとわかった気がする。昔は昔、今は今、

みんながみんな、あの子みたいじゃないってわかった気がするよ」

それだけ言うと先輩はもう一回、私の手を握ってくれました。

「先輩!やっと信じてくれたんですね」

私の目から不意に涙がこぼれてしまった。

(えっ何で、私やっと先輩と手を繋げたことがこんなに嬉しいんだ)

二ヶ月も先輩と一緒にいたけどやっと繋げた手に感動してあかりは泣いてしまった。

「あかり、大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。ただやっと触れられたな、と思って嬉しくなっちゃって」

「そこまで待たせてたんだな、ごめんな」

私は涙を拭いて

「いいんですよ、時間をかけて慣れていきましょうって言ったんですから。

それでも私は嬉しかったです」

話してる時もずっと先輩と手を繋いでいたけど先輩は気にしていないみたいだった。

「あの、先輩、教室くらいまで繋いでていいですか?」

「ああ、いいよ、繋いで行こうか」

「はい!」

二人でこっそり手を繋いで歩いていると、一年生の部活の後輩が前から歩いてきた。

「えっ!先輩が、、森山さんと一緒に!」

「女嫌いの先輩が、あの森山さんと一緒に!」

「これは夢でしょうか?!」

と言い寄られたが、あかりが前に出て

「この人が私の大切な彼氏だよ、じゃあね!先輩、行こう!」

「あっああ」

後輩三人は驚いたように固まってしまった。

(先輩、これからもっと距離を近づけていきたいな)

手を繋ぎながら、この手を離したくないと感じるあかりなのであった。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る