第4話天気予報

毎度お馴染みの羽弦でござる。

我が主君島津義弘公は慣れぬ現代社会に転移あそばされ、岡田幸樹殿の家に居候の身に相なりもうした。正室、洋子殿はそれを快く承諾し公の好物のカツオのタタキと芋焼酎でもてなしあそばした。

公は岡田殿に何故、慶長から令和のこの世に来たのか尋ねられたが、フィクションの書き物には良くあるパターンだとお教え申した。

そして、公は出来るだけこの世をお学び申した。

では、本文へ。


「明日は雨かぁ〜」 

と、幸樹がテレビを見ながら言った。

義弘は初めはテレビに映る人間に、

「何奴!名を申さんか!」

『日経平均株価は……』

「何じゃっち?にっけいへいこくカブとは、野菜の……まさか、農民ではあるまいな?無礼者!」

と、テレビに向かって怒り狂っていた。

風呂上がりの幸樹は大樹の髪の毛を拭きながら、

「どうしたの?義弘さん」

「こん、薄か板に住み着く、農民が無礼を働いだで無礼討ちにしてよかな?」

「農民?」

「あぁ〜、このテレビかぁ〜」

「てれび?」

「うん、テレビだよ。日本だけじゃなくて、世界中の出来事がニュースで分かるんだ。あ、明日の天気予報だ!何だ、明日は朝から雨か〜」

義弘は缶ビール片手に、

「岡田どん、こん晴れた夕暮れに、明日、朝から雨は降らんちおもっちょい」

「まぁ、見てな。明日、雨が降るから」 


翌朝


ザーッ


雨音で義弘は目が覚めた。居間の布団から出ると、洋子は朝ごはんとお弁当作り、そして、幸樹はネクタイを絞めてアイスコーヒーを飲んでいた。

「岡田どん!あ、雨が……」

「おはよう、義弘さん」

「あっ、おはようございます。じゃっどん、岡田どんは、神通力の持ち主な?」

義弘はぷるぷるしていた。

「え?神通力?あっ、天気予報見たからだよ!昼には雨止むってさ」


朝、6時過ぎ。スマホが鳴る。

「もしもし、岡田です。……え?竹田が休む?……参ったな。理絵ちゃんを代わりにそっちに派遣するよ!……うんうん。……オレが代わりに向かうから、ジャ」

幸樹はため息をツキ、アイスコーヒーを飲んだ。

「岡田どん。今んたないな?人間の声が聞こえたど」

「電話だよ!」

「でんわ?」 

「相手がどこにいても、声や画像……声や顔が見えるんだ」

「へ、へぇ〜……ちった目眩がすい。あたや、もう一眠りしてよかや?」

「うん、良いよ。慣れるまで自由にしていいよ。洋子におにぎりを作っていてもらうから、お昼それ食べて。冷蔵庫のビールも飲んでいいよ」

幸樹は弁当を持つと出て行った。義弘はパニックに陥り、布団に潜った。

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