第3話暫く、殿との生活
こんばんは。お馴染みの羽弦でござる。井戸に転落し、何故か令和の海のテトラポッドに座っておられた我が主君、島津義弘公は岡田幸樹殿のご好意により、現代の洗礼を受け申した。
しかし、まだ、合点のいかぬ義弘公と岡田幸樹殿。
岡田幸樹殿は、義弘公を警察に突き出そうと、お考えあそばされたが、書き物、……現代の小説の書いてあるが如く、義弘公が転移されたのではと思い、暫く岡田殿のお側に公を、留め置き申した。
話しは、そこからでござる。
「うんうん、やっぱり違いない。義弘さんは関ヶ原合戦から現代に転移されたんだ。良く、小説やマンガであるみたいに。おばあちゃんが鹿児島出身だから、だいたいの言葉は分かるから、義弘さん内で暫く生活しませんか?」
幸樹は、冷蔵庫から缶ビールを取り出し義弘に渡した。
「さっぱり。おいどんは、分からん。ないごて、関ヶ原からこけおっとか?じゃれば、岡田どん、暫くこの島津義弘をかくまってもらえんじゃろかい?」
「……」
義弘は缶ビールを手渡された。
「ビールですよ。冷たいうちに飲んで下さい」
「ち、ちんたかぁ〜。こや、どげんして飲んとな?」
幸樹はプルタブを引き、飲む仕草をした。
義弘は恐る恐る、缶ビールを飲んだ!
「……うんまかっ!こいや、なんち言う飲みもんな?」
幸樹も缶ビールを飲みながら、
「ビールですよ」
「びいる?」
「南蛮渡来の麦酒ですよ」
「ほう、麦酒とな」
すると、自転車で妻の洋子が帰って来た。
「ただいま〜。あらっ、お友達?珍しいわね。こんにちは。妻の洋子です」
義弘はびっくりして、
「お、岡田どんのご正室な?」
「はい、我が正室の岡田洋子です」
「こんたびは、岡田殿に助けてもらいもした、島津義弘でごわす。まっこて、美しかお人や」
「島津?薩摩の方?」
「よ、良くご存知で。しばらく、お世話になりもす」
「いいですよ~。うちの主人はお友達少ないですから」
「奥方、あがとさげもす」
洋子は、ニコリと笑い部屋に向かった。
この縁側で、義弘と幸樹はビールを飲みながら、現代の事を詳しく教えてもらった。
自動車、電話、テレビ、などなど義弘は初めて見たものばかり。
火を炊かずに、ご飯が出来るをとても興味深く、義弘は仕掛けを知った。
そして、義弘が令和の時代に転移してから、1週間経った時の話しをしよう。
それは、明日の晩に。
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