第20話
(ちょっといいか)
暗い空には白い月が浮かんでいた。教会を囲んでいる森の中から感じられていた生き物の気配が消えていた。
俺達死霊は睡眠が必要ない。睡眠をしないことで俺達は時間を持て余した。時間を持て余すことは必ずしもいいことではない。
何かを考え続けるのが人間の逃れられない性質。時間を持て余していれば考える必要のないこと、または考えてはいけないことまで考えてしまうのだ。
(出発する前に話しておきたいことがある)
その思考の悪循環から逃れるためには新たに考えなければいけないことを供給し続けるしかないのだ。
『なに?』
明るい口調であったがその裏に疲労を感じた。
(俺達の身体についてだ。俺の首とお前の身体をくっつけたい)
首をくっけていればもっと激しく動くことが出来る。さらに魔力や感覚などの共有もうまくいけばできる。
そうすれば魔法もわざわざ魔力を送って貰う手間が省けてスムーズに使える。
『別にいいよどっちでも』
話を遮りながら答えた。その答えは投げやりだった。
(最後まで聞け。これは大きなリスクがある)
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