第19話
「これからどういたしましょう」
そう尋ねてくる教皇の顔には不安が浮かんでいた。
正直、教会は今動くべきではない。ただでさえ異端ということで捜索がされているのに俺との関係がバレれば王国も全力で動くだろう。
(とりあえず教会は待機していてくれ。この状況は俺たちでどうにかする)
「そうですか。忘れないでください。私たちは
ストリヤ様のためにのみに力を尽くします」
(わかってる。よろしく頼む)
「勇者様もお忘れなきよう」
教皇はそう言い残すと部屋を出て行った。俺たちは数日の教会の滞在ののち王都に向けて出発することにした。
今すぐにでも出発しなかったのはやるべきことがまだ残っているからだ。
教皇が出た後、俺たちも部屋から出た。
俺たちの間に存在する沈黙。そこを子供たちの笑い声が通り過ぎていく。
『ストリヤの夢は本当に叶ったの?』
勇者はポツリとつぶやいた。
その問いかけに俺が答える事はなかった。
それは本人しかわからない。俺には返す言葉も技術もなかった。
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