第18話

「状況は最悪です。あなたは国家の敵として断罪されてあなたと関わっていた人間、物は全て消されました」


(俺と関わった人間なんていないはずなんだがな)


 俺は外に出たくなかった。興味がなかったし、興味があるものは全て棲家に揃っていた。


 興味があったのは魔法。魔法を使えないこの身体は魔法に関しての知識を求めていた。


 家に保存されている魔導書は一日中読んでも減らなかったし、理解しようとすればもっと多くの時間がかかった。


 書斎で目を覚ました。魔導書を読み漁り書斎で寝る。そんな過ごし方に周りから本の虫と揶揄されても気にならなかった。


 そんな生活をして今に至る。正直何もダメージはない。家にあった魔導書の内容は頭に入っている。


『ストリヤが追放?いやそんなわけない。でも…』


 勇者はストリヤのことで頭がいっぱいのようだ。さっきからずっと同じことを繰り返している。


「そんなに意外でしたか?ストリヤ様が追放されたことが」


『意外も何も。だってストリヤは地位も名声も高かったんだよ?パーティーの中でも1番声をかけられていたし』


「はめられたことは確かでしょう。もしかしたら勇者パーティーに推薦された時からそのような動きがあったのかもしれません」


『そんなのって…』


 勇者は悔しそうに拳を握りしめている。あまりに強い力のせいでぶつけられない拳を。


 

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