第17話

「あなたは本物ですか?」


 教皇は真面目な顔をして尋ねた。


(人払いを頼んだはずなんだがな)


 部屋の近くに数人分の人の気配がしている。


「申し訳ありませんがそれはできません。あなたからはモンスターの気配を感じる」


 教皇はただのお飾りの役職ではない。これまでの教会への貢献度によって選ばれる。


 つまり今目の前にいるのは幾度もの戦いを勝ち残った歴戦の猛者なのだ。もちろん戦った相手の中にはモンスターも含まれている。


(やっぱりお前には感じるか…)


 そういうと首に手をかけて机に置いた。教皇は言葉を失っていた。


「これは一体…どういうことですか?」


(俺もよくわかっていない。ただこの身体は勇者の物なのは確かだ)


『はじめまして』


 その様子を見た教皇は頭を抱えて、護衛は開いた口が塞がらなかった。


「勇者とはあの昔話に出てくるお方ですか?」


(そうだ)


「ストリヤ様と共に魔王を倒したあの…」


『ここってストリヤが作った教会!?夢が叶ったんだ』


 教皇はしばらく黙り込んだ。あまりに現実離れした話に混乱しているようだ。でもそんな時間はない。


(混乱しているところすまないが現状の確認とこいつに諸々の説明をしたい)

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