第16話
「申し訳ありません。あなた様がお亡くなりになられたと言う情報を信じてしまいました」
(いや、いい。教会のことを考えたら最善の行動だったと思う)
俺達は応接室に通された。目の前に座っているのは教皇だ。
(少し頼みがあるのだがいいか?)
「何でしょう」
教皇の顔が引き締まる。かなり危険なお願いだと思っているのだろう。これまでのことを考えると当然なのだが。
(この子を引き取ってもらいたい)
「もちろんですよ。ここでは魔族も人間も分け隔てなく一緒に暮らしていますからね」
教皇はホッとした顔をしていた。そして、すぐに1人のシスターを呼んできた。白髪の笑顔が印象的な老人だった。
「彼女達がしっかりとこの子のことを引き取ります」
シスターはゆっくりと頭を下げ、魔族の子供の手を取った。
『じゃあ、元気でな。ちゃんということきくんだぞ』
声が震えているような気がする。少し一緒にいただけなのだが。
「テルヒ…」
『ん?』
「私の名前はテルヒだ」
魔族の子供の声だった。テルヒなりの感謝の表現だった。
『お前の名前、テルヒっていうのか。じゃあ、テルヒ。お前はここで強くなれ。今度は一緒に旅しような』
テルヒは何も言わず頭を縦に振った。その目には涙が浮かんでいた。
「さて本題に入っていいでしょうか」
テルヒが出て行った後教皇が口を開いた。
(いいだろう。だが先に人払いをしてくれ)
「そうしたら教えてくれるのですね。あなたの身体について」
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