第14話
『本当にこんな山奥にあるの?大体教会って街の中心にあるけど』
木々をかき分けながら山の中を歩いている。言っていることは間違っていない。
教会があるところに街が発展するからこんな山奥にあることなどほとんどないのだ。
ただ今向かっているのは訳ありの教会。そんな常識通用しない。
(そろそろ着くぞ)
目の前には大きな洞窟が広がっている。中は暗闇で道らしきものは全く見えない。
この場所を通れば目的地である教会だ。足元に気をつけながらゆっくり一歩ずつ歩いていく。
「動くな」
洞窟の中を進んでいる時後ろから刃物を突きつけられた。
『どうする?』
(そのまま様子を見てくれ)
テレパシーでそんな会話が交わしていることなどつゆ知らず、男は続ける。
「そのままの状態で前に進め」
大人しく指示に従う。今後ろにいるヤツはかなりのやり手だ。
刃物を突きつけられるまで気配を感じ取れなかったし、今も認識阻害の何かをしているのかこいつが男なのか女なのかすらわからない。
子供は恐怖から外套に強く握りしめている。どうやら俺達への恐怖も薄れてきているらしい。かなり強く引っ張っているから首がとれないか心配ではあるが。
『大丈夫だからそんな顔しないで』
「おい、勝手に喋るな」
『いいでしょ、そんぐらい』
突きつけられている刃物なんて気にせず子供の様子を気にかけている。全く問題ない相手なのだろう。
遠くに光が見えた。出口だ。ようやく目的地の教会に着いたようだ。
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