第11話
服従の呪いは解呪できない。
理由は商売上の秘密になっているからだけではない。
服従の呪いは魂と魂を繋ぐ呪い。一種の
かける魂とかけられる魂の組み合わせの数だけある。一定の解呪方法がないのだ。
解呪に必要なのは呪いに対する深い知識と呪いを凌駕する魔力。
知識は持っている。問題なのは…
(魔力を送ってくれ。魔力さえあれば解呪できる)
俺はそもそも魔力がなかった。アンデットとなることで多少は魔力を持ったがそれでは足りない。
本来なら失敗する。でも俺は成功することを確信していた。
『わかった。やってみる』
少しの沈黙の後、下から温かい物が上がって来るのを感じた。魔力だ。
自分が今持っている魔力はもちろん。これまで感じた魔力なんかとは比べ物にならない。
この魔力量なら余裕だ。
高等魔法
魔法が奴隷に当たると首に赤色の模様が浮かび上がる。
『どう?』
(もうすぐだ)
心配そうな声に落ち着いて返す。予想以上に勇者の魔力が強かったためかなり早く解呪ができそうだ。
パリン
澄んだ音があたりに響いた。奴隷の首にあった模様が砕けた。
(解けたぞ)
そう言うよりも早く身体は動いていた。
風のように素早く奴隷だった魔族の子供のところまで行き、小脇に抱える。
「お前何やってるんだ。おい奴隷、命令だ。そいつをぶっ飛ばせ」
近くにいた主人らしき男が叫ぶ。でも意味がない。
服従の呪いは解かれているし、そもそも勇者をぶっ飛ばせるような魔族はもう存在しない。
焦る様子で繰り返すのを尻目に俺達は魔族の子供を連れ去った。
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