第4話
『うるさいよ。テレパシーでも音量の概念あるんだから』
(いや、でも。え?)
混乱して思考が追いつかない。
目の前には黒色の甲冑を着た兵士らしき姿がある。声の主は間違いなくこいつだ。でも…
(何で頭がないんだよ)
頭のあったであろうところには青い炎が揺らめいている。これはモンスターのデュラハンの特徴だ。
デュラハンは魔法への耐性が高く厄介なモンスターだ。でも魔法は使えなかったはず。
つまり目の前にいるデュラハンはかなり高レベルの個体なはず。それなら言語を扱えているのにも納得がいく。
『そうなんだよ。人間だったのにデュラハンになっちゃったんだ』
人間のモンスター化。
それは昔から語り継がれる未だ解明研究議題の1つ。そして今、禁止されている研究でもある。
倫理的な観点からもそうだが、軍事的利用がなされる恐れがあるというのが大きな理由だ。
我ながら魔法には詳しい方だと自負しているが、人間のモンスター化に成功した記録はなかったはず。
(つまり、人間がモンスターになった初めての成功例ってこと?!)
『君もだよ』
(え?)
『人間がモンスターになってればいいんでしょ』
そう言ってデュラハンは俺の頭を掴むと軽々持ち上げた。
(もっと丁寧に運んでくれよ)
『仕方ないよ。持つところないんだから』
デュラハンは水溜まりに連れて来ると俺の頭を傾けた。視界に水面が入る。
そこには身体のない俺の頭だけが写っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます