第3話 絆?
ガチャ、と無機質の扉の音が響くソコには、帰ってきた夫の姿があった。
「ただいま、真由美さん」
いつもより、元気がないように感じるその姿に涙が出そうになるが、話さないといけない事もあるため、我慢する事にした。
「おかえりなさい、
「ただいま……」
「ねぇ、やっぱり帰ってきたら私……姉さんのことをあの子に話そうと思うの……」
「あぁ、それがいいと思う、俺も仕事中にいろいろ考えていたが、ソレがあの子のためだと思う……」
「ごめんなさい、私の我が儘でアナタにもあの子にも迷惑かけて……本当にごめんなさい……」
あの日、
『この子は私が育てます!』
亡き姉の忘れ形見、甥っ子にして大事な一人息子。
時間なんて解決してくれない!だから……。
また、ガチャと無機質な扉の音が鳴った。「ただいま……」
「「……!」」
驚いた二人の前に
「ただいま……
「え……!
「どうして……?」
驚きに言葉がうまく出せない二人、
「たしか……予定では、一週間後のはず……?」
「あぁ……だけど、帰って来てくれた……」
「二人に話したい事が出来たんだ……それで予定より早く帰ってきたんだよ」
「「 !! 」」
「旅行中、いろいろ考えて悩んで、それでも纏まらなくて……だから俺、この家を出ていくよ」
「「……!」」
その言葉に別の意味で二人は固まるのであった。
「な……何も……出ていく……事ないのよ」
「そうだ!出ていく事なんてないぞ!」
「俺は二人にとって、赤の他人なんだ……だから、この家にいちゃいけない人間なんだ……」
「いいえ……アナタは……
「赤の他人じゃない!俺たちの大事な一人息子だ、だから出ていく事はない!」
問答は、夜遅くまで続いたのであった。
続く
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