第2話 親子(母親視点)

一週間が過ぎた────。


あの一件から、私達親子の関係がギクシャクしてから、息子は旅行までの半月を関わらないようにしていた。


「1度外国に行きたいって言ってたから止めはしないけど「真由美さん!」……!!」

「真由美さん、俺も少し冷静になりたいから……1人にして欲しいです」

「……昔みたいに『母さん』って言ってくれないのね……」

息子は、あの一件から私に対しては他人行儀になってしまった。

二十歳ハタチになるまで隠す予定だった事実を知られたために、どうすれば良いかもわからず、過ごしていたある日のこと。


「なぁ……辛くはないか?」

「大丈夫よ」

夫の『健士けんじ』さんから、ある提案をされる事になった。

「アレだったら、『湊路そうじ』は俺が引き取って別れるぞ。」

「そんなことしません!!」

「真由美にとっては、姉の忘れ形見だからな……」

「いいえ違います!!あの子、湊路そうじは私の……私たちの息子です!!」

「そうだな……ごめんな、真由美さんに辛い思いを抱かせてばかりで……」

「私たちに子供が出来なかったのは、しょうがないことなんですよ」

「でも、俺に無かったから……」

「代わりに、あの子が私たちの元に来てくれました。わかってくれるとも、昔のようにとも思いませんが……あの子、湊路そうじは私たちの大事な息子です。」


涙を流しながら訴える母親に我慢が出来ず、共に涙を流す2人の姿を扉の隙間から眺める姿があった──。


               続く

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