ふーん。だから何?
からあげホイホイ
お呼び出し(改訂版)
〘トーク画面〙
8/14
「ねぇ、」
「どした」
「今から会えない?
迎えに来てよ。」
「いいけど。
親へーき?」
「…………ヤバい。」
「そっちは?」
「ヤバいけど。
急いでそっち向かうから。」
「口実は?」
「んー?
何とかする。」
「おk。
あざす」
▧ ▦ ▤ ▥ ▧ ▦ ▤ ▥ ▧ ▦ ▤ ▥ ▧ ▦ ▤ ▥
腐れ縁の友達に呼び出された。それも夜6時に。
僕は猛スピードで‘あいつ’の家に向かっているが、夏の暑さがどこまでも容赦なく自転車を追いかけてくる。
急に家を飛び出そうとする息子を親は勿論、止めてくる
「こんな時間にどこに行くんだ⁉」って。
だけど僕は、
「友達が僕の夏休みの宿題を間違えて持って帰ったからとりに行く。」
と言い訳をして振り切ってきた。
嘘は良くない。かと言って他の方法を問われると答えに詰まる。
なぜって?
今から行く場所は絶対に知られてはいけないから。
ーーーーにしても遠いなあいつの家。
✄ーーー✄ーーー✄ーーー✄ーーー✄ーーー✄ーー
僕の名前は
自分でいうと虚しくなってくるが、クラスでもあまりパッとしないタイプの中学2年生。
そして今、目の前で何故か偉そうに胸を張り、腰に手をあてて立っているのが
僕を呼び出した張本人であり、切っても切れない腐れ縁の友人だ
あの後、何とかコイツを家から引っ張り出して近くの公園に来た。まあ、公園と言っても遊具も何もないただの広場だが…
「すまんね。急に呼んで。」
「ゼェ、ゼェ、はぁ。ホントだよもう…」
息切れした声が辺りに響く
やはり夜とはいえ盛夏の湿気がしつこく体にまとわりついてくる。
おかげで僕のシャツは汗でぐしょぐしょだ
「汗だくだな〜アヤト。ジュースいるかぁ〜?」
それに反比例するように間の抜けたイリアの声がまたもや公園に響く。
緊迫した雰囲気でメールを送ってきたのが本当にコイツなのか疑いたくなってきた…
「ハァ、ハァ、奢りか?」
「おん、迎えのお礼だ」
「…んじゃ、お言葉に甘えて。ミ●ヤサイダー1個。」
今日は珍しくイリアの奢り。
どうやら明日は天と地がひっくり返るらしい。
今のうちに祈っておこう…アーメン。
大事に取っておいたラス1のアイス食べれば良かったな
「おけ。うちもそれにしよ〜」
「いや、真似すんな。」
「おやおやぁ~ キミィ〜、ご存知無いのでぇ〜?」
イリアが何故だか急にドヤ顔で煽ってくる。
その顔やめろって。カワイイ顔が台無しだぞ
「うわうざっ…あーもう知ってるよ知ってる。知ってますとも。」
「ははは、すまんすまん。遂、ね?」
「ったくお前は…」
彼女、イリアにとってジュースは何を飲んでも全部同じ味がする甘い水になる。
極度な偏食のイリアに好きも嫌いもない。色以外、味もみんな同じ。
だから選んでもしょうがない。
それで僕を真似る
そういう訳だ。
「そんで?何があったん?」
自販機で買ってるのを待つのも暇なので本題に入る事にした。
「ゔ〜。ちょいまち…」
まだ言う気にはなれないようだ。かすかに目が赤い。相当なんだろう
ピ!ガチャン チャリン♪
「ホイ。これミ●ヤ。
………やっぱし、ちょい歩かんか?」
そう言ってイリアは歩き出す。
「ありがとう。」
そう言って受け取るとイリアは複雑な笑みで
「いいってことよ!」
と返してきた。
…イリアのこういうテンション《空元気》を見ていると、なぜかどうしようもない焦燥感に駆られる。
僕の気のせいだろうか?
ーーーーー公園ーーーーー
自販機によってから15分程経った。
「あー、あっつ~い!
観念していい加減話しますか。」
そう言ってイリアがベンチに座った
(やっと言う気になったか…)
僕もベンチに座る事にした
急にコイツの事を説明し始めるのもなんだが、一応。
「学校」という名の窮屈で閉鎖的な「箱」は僕たちに正体の見えない“正常・普通”を求め、そこから外れる者は全て爪弾きにしてくる。一度外れた者は箱の中に戻るのが難しい。
一見バカで五月蝿くてマイペースで偶に変なことする奴に見える衣璃秋。
けれどフタを開けてみれば、コイツはそれと真反対の人だった。バカとマイペースは変わらんが…
何でこんなにオンとオフが違うのか?
思い切って理由を聞いた時、“こんな理由あってたまるもんか”って絶望した
それからはコイツの相談(愚痴)に付き合うようになった。ただの同級生だったのが嘘みたいに…
「おう。聞くよ。」
「いやぁ~、実はさー」
「んー?」
「今日学校で小テスト返されたやん。」
「あ~アレね。」
「何点とったと思う?」
「真面目なバカのお前の事だから25点。」
「うわぁお、酷い。まぁ当たってるから許す。」
「当たってるんだ。」
「ドンピシャ(泣)」
「そんで?」
続きを促すと何かを思い出したのかだんだんイリアの顔が歪んでくる。
「親に見られてさ…」
「サイアクじゃん」
「そう。まーそれはいつものだから特に問題無かったんだけど、その後よ。」
(まさか…)
「イリア……今日習い事だった?」
イリアの笑みが自嘲的になる。
「そう。それ」
(あぁ…やっぱり)
「また?」
「うん…」
「せっかく自分でぜんぶ出かける予定組み立てたのにさ、あんにゃろが帰って来て『遅刻遅刻遅刻遅刻だぁー!早くしろぉォォー⤴』って割り込んできて、」
もう涙で顔がぐちゃぐちゃだ。流石にテイッシュとハンカチを渡した。
イリアが顔を拭いながら叫ぶ。
「お前が乱入すっから遅刻すんだよこんにゃくぅ〜!!」
「遅刻、してないんでしょ。」
「うん。してない。むしろ余裕すぎた。」
「なんか、そういうことされるとなんでだかイラッとくるよね。
自分で作った積み木とかトランプの城を完成した瞬間思いっきり蹴飛ばされた、 みたいなさ。」
「ん。なんかイライラ溜まってはち切れそうになってさ」
ズビッ!ズズズッ。隣から大きく鼻を噛む音がした。
「喋り方棘っぽくなってって」
「うん」
「あんにゃろがキレて」
「うわ…」
因みにイリアの親はキレると恐い。ハイブリッド般若とでも呼びたいくらいだ。
「そんでビンタと蹴りお見舞いされた。」
「げ…いてーな。それ冷やした?」
「…」
イリアが僕から目を逸らす。
コイツめ…さては放置したな?
「…どこ?診して。」
僕はそう言いながらバッグから箱を出す。
こういうこともあろうかと一応、救急箱を持って来ておいて良かった。こういういざこざで医者に頼ることは出来ないし。
持ってきたの親にバレてないと良いけど…イリアの為だから仕方ない。
「んー…?両ほっぺと…右腕。腹、背中?」
「数すげーな。って俺に聞くな!
あ、どうする?場所変える?」
頬と腕ならこのベンチでも手当てできるが流石に服の下となるとここじゃないほうがいいと思ったから。
「そだな。んと〜トイレとか?」
お前アホかよ……
あ、こいつアホだったわ。
「俺の性別忘れた?」
「え?男。」
「お前は?」
「女だけど……
あっ‼そ~いうこと?ウチは別に気にしないから体見てもいいよ~。」
「いや違う!こんな時間にトイレに二人ではいんのアカンやろ。」
「あ、それか。
そうだねー。通報されかねんし。」
うーむ。どうしよう…
---あとがき----
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました!!!
まだまだ文章が拙くて申し訳ない限りです。これからもっと筆を磨いていくつもりです
さて、今夜の愚痴大会はまだまだ続くようですが、
2人の親御さん達はどうしているのでしょう…?
何も無ければいいんですが…
ふーん。だから何? からあげホイホイ @utakataNOkoubou
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