受験

高校3年生の、夏休み明け。勉強に明け暮れ、心身ともに疲弊しながらも、学校にたどり着く。教室の扉を開けると、なんだかやけに騒がしかった。まあ、夏休み明けなんてこんなもんか。席に座って、テキストを開き、いつも通り勉強をしていた。いつもは挨拶をしてくれる隣の席の男子が今日は、何も話しかけてこなかった。

「はい、おはよう。」

ホームルームが始まり、いつものように、出欠を取った。

「皆さんにお知らせがあります。この学年で、3年間、一緒に過ごしてきた、中島咲さんが、先日亡くなりました。」


中島、咲。


私の親友だ。


脳みそが、思考を止めた。



それから、本当にたくさんのことがあった。浜松夏樹。そしてそのグループの子達は、しばらく学校に来なかった。そして数日後、今回の件に関しての説明会のような物があった。

「浜松夏樹くん、そして残り数名の生徒には、現在停学処分を下しています。中島咲さんへのいじめは、教師には伝わっておらず、防ぐことができなかった。」

もう、何も信じられなかった。悔しかった。咲は、私に手紙を遺していた。内容は、主に謝罪、そして励ましだった。数日間寝込んだ。


けれど。ココで私が後を追ってしまったら、浜松達に負ける気がして。歯を食いしばって、毎日、勉強に励んだ。今までよりずっと、長い時間。睡眠時間は半分になった。咲の分まで頑張らなきゃ。



首席だった。

大学に合格してしばらくしてから知ったその事実。驚かなかった。努力をしてきたから。言葉通り死ぬ気で。現実から目をそらし、本の中の文字にだけ集中していた。もう、咲はいないから。


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