40話:迫る脅威
俺はドラディアとの戦闘を終えた後、安全に休息を取るために高原から平原へと飛んでいく。
確かあそこの平原は大して強いやつも居なかったはず…モンスターからの襲撃を気にせず休むにはちょうどいいな、まあナルクレムと取り巻きのナイトドレイクに襲われたことはあるが…あいつらだって個体数はそう多くないはず、襲われる可能性は低いだろ。
にしても…最近俺、ちょっと戦いすぎてるような…いやまあ、森でも結構いろんな強いモンスターと連続で戦ってきたから今更といえばそうなんだが…流石に今回のドラディア戦で無茶してたのを痛感したな…再生力で傷を塞いだとはいえ…まだ完治してない上に麻痺も残ってる…正直今だって飛ぶのでやっとだ。
この頻度で戦うのを続けていたら今回みたいな事が立て続けに起きる事もあるかもしれない、それは流石に厳しいものがある、最強になるのに手っ取り早いのはそりゃもちろん戦闘回数を重ねる事だが…流石に体が持たない、一旦ここら辺で少しゆっくり体を休めるとしよう…
そう考えながら飛んでいると、最初に訪れた平原が見えてくる。
お、平原が見えてきたな、もうすぐ着くな、やっと休めるな…、一応人間の国が平原にはあるが…そんな長居するつもりもねえし、国から極力離れとけば大丈夫だよな?
そんなことを考えながら、俺は平原に足を下ろす、その瞬間、体の疲れが一気に襲ってきた。
流石に疲れたな…そういう時はまず寝るのが1番だ、体力もMPも全然無いし…眠くなってきたし、ここで一旦寝るか…
そうして俺は平原で眠りについた。
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「…それは事実か?」
「はい、すでに何人も目撃しております、1人ならともかく、複数人からの目撃情報が上がっている以上、事実としてみた方がいいかと…」
私はその報告を聞いて驚きを隠せなかった、なぜならば、この国があるホルネイツ平原、そこに竜が出現したという報告が私の耳に飛び込んできたからだ。
これがCランク程の竜ならば良かったが…そうもいかない、濃い灰色の体に青み掛かった紫の稲妻のような模様、濃い灰色の体とは対象的に、白く尖った大きな角、これが今回ホルネイツ平原に現れた竜の特徴だが…この特徴を持つ竜は私の知る限り一種類しかいない、それはアルヴェイルの上位種、セフレールだ。
セフレールは高い飛行能力を持ち、様々な魔法を操る竜だ、その魔法の種類はアルヴェイルの時とは比べ物にならない。
おまけに奴はアルヴェイルの上位種なだけあって、その性質は変わらない、決まった縄張りを持たず、様々な場所に出現する、まさに進出鬼没だ、だからこの平原に現れるのは別に不思議ではない…が。
一つ問題がある、それは、今回平原に現れたセフレールは、この平原に初めて来た個体ではない可能性がある事だ。
根拠はある、それは少し前の話になるが、とある商人がここにくる最中、大規模なランドウルフの群れに襲われた時、アルヴェイルが現れランドウルフを一掃し、飛び去っていったという話を聞いた。
それだけならまだしも、つい最近のナルクレムとナイトドレイクの死体があった場所、そこには様々な魔法の跡があった、もし私の推測通り、ザイルの報告にあったモルゾの森に出現したアルヴェイルが進化し、この平原に来ていたとしたら…奴の行動は明らかにおかしい。
もちろん、ザイルの報告にあったモルゾの森に出現した個体と、平原に現れ、ランドウルフを一掃したアルヴェイルが別個体の可能性は無いとは言い切れないが…同じ魔物がモルゾの森と平原にほぼ同時期に別個体として現れるなんて偶然、まず無いだろう。
そしてモルゾの森に現れた個体と平原に現れた個体が同じ個体ならば、ナルクレムとナイトドレイクの群れを倒したのが今回平原に現れたセフレールだという可能性が格段に上がる。
加えて、モルゾの森に現れた個体はウェルグレイグを倒したという報告も受けている、ウェルグレイグを倒したとなるとその時点で進化に近い個体の可能性が高い、つまりその状態で平原に飛来し、平原の魔物を襲い、セフレールに進化し、ナルクレムとナイトドレイクの群れを倒し、一度この平原を離れた…という事も可能だ、もしそうなら、奴はアルヴェイルの時点でこの平原に来ているという事だ。
もしそうだとすると、奴をこのまま放置するわけにはいかない、今回の行動…セフレールにしてはあまりにも異常だ、通常のセフレールと同じように考えるべきではないだろう。
もし奴が国へ侵入してきたら取り返しのつかないことになる、奴が国に侵入し、魔法を放てばかなりの被害が出ることは火を見るより明らかだ。
一応この国には魔物避けの結界を張っている、大体の生物であれば不快感を感じたらわざわざそこより先に行こうとはしないが、当然ながら強い魔物には効き目が薄くなる、しかも奴の行動は普通のセフレールとは異なる、これだけでは不十分だ、もちろん私の推測が間違っている可能性はあるが、それでも備えないわけにはいかない。
それに…問題はそれだけでは無い、セフレールが国に侵入して来ないと仮定しても、この国に来る者を襲う可能性も十分考えられる…奴は上位種の竜だ、人間なんていとも容易く殺す事が可能だろう。
アルヴェイルを見たという商人が無事だったのは恐らくそのアルヴェイルは最初からランドウルフを狙っていたから助かっただけだ、普通であれば襲われ、あっという間に捕食されたことだろう。
どうする…?いつセフレールが暴れ出すかもわからない状態では、まともに動けたものでは無い、かと言ってこのままセフレールがこの平原から去るのをのんびり待っているわけにもいかない…
1番良いのは…セフレールを討伐、または撃退することだ、もちろん簡単なことではない、セフレールのランクはB、操る様々な魔法はどれも強力な上、身体能力もそこらの魔物とは比べ物にならない、普通に戦えばかなりの犠牲が出るだろう。
だが、犠牲を抑え、セフレールを大幅に弱体化させる方法が一つだけある、それは…対竜種用結界だ。
この結界は竜にしか影響が及ばぬ上、この結界に竜が入れば、身体能力が低下し、撃てる魔法も大幅に制限する事が出来る、つまり一方的にこちらが魔法を使う事ができる、まさに竜を倒すことに特化した結界だ。
だがこの結界を維持するのにはかなりの魔力が必要だ、長時間展開することは厳しい、故に時間はあまりかけれない、だがこれが1番確実だろう、そうと決まれば…
「グレオス様?大丈夫ですか?何やら考え事をしているようですが…」
「ん?あぁ、すまない、大丈夫だ、もう下がって良いぞ」
「わかりました、それでは失礼いたします」
そう言い、部下が部屋を出ていく。
まずは国王陛下にこのことを伝えなければなければな…今回の件、ギルドの部隊だけで実行するのはまず不可能だ、国王陛下にこのことを伝え、部隊を組ませてもらわなければ…そうと決まれば早速動くとしよう…
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