10話:とある冒険者パーティと白い竜 sideグラナ

「さて、どこを探そうか、手掛かりみたいなものは無いのか?」


「探してはおるけどなぁ、なかなか見当たらんわ」


「気配感知にも引っかかんねえな、こりゃ見つけんの大変そうだなぁ」


「そうですね、まあそのドラゴンが見つからなくてもとりあえずはギルドに報告はしましょう」


「まあそうだな、ひとまずこの森を探索するとしよう」


そして私達はその森をしばらく探索していた、するとガルゼが私達を止める。


「おい、お前ら止まれ、なんか近づいて来てるぞ、警戒しろ」


「なんだと?例のドラゴンか?」


「いや、これはドラゴンじゃないな」


「わかった、どこから来るか分かるか?」


「そうだな、北の方から来てるな」


「了解だ、全員北の方を警戒だ」


そして私達は北の方を警戒していると、大きな蜘蛛が飛び出してくる。


「キュリリリリリリ!!!」


アラムスパイダーか、こいつの糸は厄介だから警戒だな


「ほなまずはわいから行くわ、ファイヤランス」


そう言うとジラの杖から炎の槍がアラムスパイダー目掛け発射される。


「キュリリ!!」


アラムスパイダーは炎の槍を避け、私に糸を発射してくる、私はそれを切り裂き、風の刃をアラムスパイダー目掛け放つが、アラムスパイダーは上に跳んで避けるが、そこに光の矢が飛んでき、アラムスパイダーに突き刺さる。


「キュリリ!!!!」


アラムスパイダーが悲痛な声を上げ、地面に落ちる。


「キュリリ…」


私は地面に倒れているアラムスパイダーを斬り止めを刺す。


【経験値を115得ました】


「よし、討伐完了だな」


「まあこいつは糸は厄介やけど正味そんな強くないからな、この程度なら楽勝やわ」


「まあ確かにそうだな、さて、素材を回収するか」


「そうだな、とっとと回収…ッ!?」


「どうしたガルゼ」


「お前ら不味いぞ!なんか近づいて来てやがる!!この気配はドラゴンだ!」


「なんだって!?ドラゴンだと!?」


「急いで離れるぞ!!」


ガルゼがそう言った瞬間、私達の後ろに気配を感じ、振り向くと、そこにはドラゴンが居た、そのドラゴンは2mを超える、白い鱗を持つドラゴンだった。


「なんや…あのドラゴン…あんなん見たことないで…?おい!グラナ!とっとと逃げた方がええんちゃうか!」


「いや…相手はこっちを見てる…こんな状況で逃げたらやられるぞ…ここはもうやるしかない…」


「正気か!?あのドラゴン恐らくガルブロラを倒したモンスターなんやぞ!?勝てんのか!?」


「それでもやるしかないだろう…!逃げたら死ぬだけだぞ…!」


「それもそうやな…はあ、しゃーない、覚悟決めるしかないみたいやな、んじゃ早速行くで!ライトニング!」


ジラがそう言うと杖から雷がドラゴン目掛け発射される。


「グガアア!?」


「続けて行くで!アイスランス!」


「私も合わせるぞ!真空刃!そしてオーラブレイド!」


私とジラはドラゴンに攻撃するが、翼で打ち消されてしまう。


「翼で打ち消されるやと…!?やっぱ強いな…!」


「だが怯むな!防戦一方になったら負ける!このまま行くぞ!」


私はそう言い、ドラゴンへと駆け、剣を振るうが、ドラゴンはそれを後ろに下がり避ける。


「まだまだ!このまま攻める!ジラ!拘束を!」


「任せとき!!バインド!!」


私は真空刃とオーラの刃を飛ばし、動けないドラゴンを斬ろうと近づくが。


「グガアアアアアア!!!!!」


そのドラゴンは拘束を解き、風の刃を3発飛ばし、私の真空刃とオーラの刃を打ち消し、さらにもう一つは私の所に飛んでくる、それを私はなんとか後ろに下がり避ける。


「すまん!拘束解かれてもうた!!抵抗力が強すぎる!」


「まさかここまで強いとはな…だが十分隙は作れた筈だ、これならガルぜが…」


そう思っていた時、そのドラゴンが突如何もいないところへブレスを吐いた。ブレスを吐いた後ガルゼが戻って来る。


「気配隠蔽してても気づかれんのかよ、やべぇなおい」


そしてドラゴンが急にリリスの方を向き、リリスに接近しようとして来る。


「そうはさせん!ライトニング!」


ジラが雷を放つが、翼で防がれ、風の刃がジラ目掛け3発放たれる、ジラはマナバリアでなんとかそれを防ぐ。


「くそ!不味い!間に合わない!」


そしてドラゴンがリリスの居た場所に腕を振り下ろし、地面を抉るが、ガルゼがリリスを抱えなんとか躱すが、ドラゴンはガルゼに風の刃を放つ、ガルゼが横に跳んで避けるが、その瞬間ドラゴンがガルゼの体に尻尾を叩きつけ、ガルゼが吹き飛ぶ。


そして私はドラゴンに接近するが、ドラゴンはガルゼ目掛け拳を振り下ろす。


「マナバリアぁ!!」


ジラが叫んだ瞬間、マナバリアでドラゴンの拳が止まる。


「ぐぅ!三枚重ねで防ぐのがやっとか!でもチャンスや!決めろグラナ!」


「任せろ!!ここであいつを斬る!」


私は跳び、ドラゴンにオーラブレイドでオーラを纏わせ、剣を振り下ろす、斬る直前にドラゴンが振り向くが、ドラゴンの体に私の剣が炸裂する。


「よし!決まッ…」


だが甘かった、ドラゴンは怯まず、私に向かってブレスを吐いてくる、直前でジラのバリアが貼られるが、防ぎきれず、私にブレスが直撃する、ブレスで体が燃え、私は地面に倒れる。


ここで終わりか…?ガルゼもここからじゃ間に合わない…ここで死ぬのか…。


そう思っていたが、ジラがドラゴン目掛けアイスランスを数発放つ、ドラゴンはそれを翼で防ぐ、そしてその一瞬の隙でガルゼは私を抱え、仲間と逃げるが、当然逃すまいとドラゴンが追いかけてくる。


「ま…ずいぞ、ドラゴンが…追いかけて…」


私がそういった瞬間、ドラゴンの足が止まる。


「ちゃんと逃げれるように準備してるよ…罠がなんとか間に合ってよかったぜ…ジラの魔法のおかげだ…」


「MPがまだ残ってて良かったわ…正直もう全然残っとらんわ…」


「と、とりあえず回復しますね!」


リリスがそう言うと、私の体に光が当たり、痛みが引いて行く。


ああ、そうか、助かったのか…。


「お前達…すまないな…リーダーなのに…私がさっさとこの森から撤退してれば良かったのに…リーダー失格だ…」


「何いってんだ、俺だってこんなこと予測出来てねえんだ、気にすんじゃねえ、今生きてりゃそれでいいんだよ」


「だが…!それでも私は仲間を危険な目に合わせた…」


「わかったからその話はこの森を抜けてからや!まだあのドラゴンが追ってこないとは限らんねんぞ!」


「そ、そうだな、すまん」


こうして私達は、なんとかギルドに帰ってくることが出来た、そしてガルブロラが既にやられており、そのガルブロラを倒したモンスターの特徴を伝えた。


「2mを超える巨体で白い鱗のドラゴン…まさか…ヴァルド?」


「ヴァルド?なんだそれは」


「ヴァルドとは、ベビーフェブルドラゴンが進化する際に、ごく稀に誕生する特殊個体です、ここ500年は目撃例が無かったそうですが…まさかあの森にそんなドラゴンが誕生しているとは…情報ありがとうございます」


「今回は討伐対象が既に死んでいたし、特殊個体の発見なども含めて、今回の罰金は無しとさせていただきます、ゆっくり体を休めてください」


「あ、はい、わかりました」


はあ…疲れた…さっさと宿に戻ろう…








 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

宿屋にて、私たちは今回のことについて話していた。


「はあ…特殊個体やったんか…そら強い筈やわ…」


「なんで特殊個体だったから強いってなるんだ?」


「簡単や、特殊個体はある条件を満たさな進化出来ないから進化できる個体が全然いない代わりに強くなる性質を持っとるからや」


「なるほどなぁ…俺はもう懲り懲りだな、知らんモンスターと戦うのは避けようぜ」


「そうだな…それに…完敗だったしな…」


「そうですね…今まで色んな強いモンスターと戦って来ましたけど、あんな簡単にやられたのは初めてです…」


「…私たちは弱い、今回のことでそれを実感したよ…」


「まあそやな、わいらもDランク冒険者としては強いけどそれより上のランクから見たら弱いやろうしな」


「あぁ…とりあえず、私たちはもっと力を高めないとな…」


「まあ冒険者の高みを目指すならそれは必須やしな、んで、力を高めたらあのドラゴンにもリベンジしたいな、あんなコテンパンにやられたらやり返したいわ」


「そうですね、私全然何も出来て居ませんでしたし…」


「俺も結構気配隠蔽に自信あったからな、見破られたのは悔しいぜ、だから次は見破られないような気配隠蔽をやってあいつをギャフンと言わせてやりてぇ」


「そうだな、よし!それじゃあ私たちの目標はあのドラゴンにリベンジするにしようか!」


「賛成〜」


「異論はねえな」


「頑張りましょう!」


「よし、とりあえず今日の所はさっさと休むとしよう」


「そうやな、んじゃな」


「おう、またな」


「さよなら〜」


こうして私達はいつかあのドラゴンにリベンジすると言うのを心に決め、今日は解散するのであった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る