第8話 男ってこんな感じなんだ…

 玲奈れいなさんの家で昼をごちそうになった俺。この後どうするか、彼女に訊くか。



 「玲奈さん。これからどうします?」


「そうだね…。今日の“女慣れ”のまとめをしたいから、また私の部屋に行こっか♪」


まとめ? さっきはブラとショーツをじっくり観察した訳だが、それ以外に何をする気なんだ? まったく予想できない…。


「待って! そのまとめ、アタシも観る! 何やるか気になるし!」


何故か白鷺しらさぎさんが名乗りを上げる。観ても面白くないと思うが…。


玲那れな。そばにいるなら手伝ってもらうけど良い?」


「別に良いよ。止めたって無駄なのは、さっきわかったし…」


白鷺さんに手伝ってもらう? 俺と玲奈さんの2人じゃできないのか?


「た・だ・し、あまりにも度が過ぎたら止めるからね!」


「はいはい、わかったよ」



 玲奈さんの部屋に再び入る俺達3人。


「貴弘君。今日のまとめはね…」


果たして何をやる気なのか? 緊張しながら次の言葉を待つ。


「今私が着けてるブラを外してもらおうかな♪」


「はあ!!?」

白鷺さんが呆れ混じりの声を上げる。


「さっき言ったよね? 女の下着を恥ずかしがらずに観るのは“基本のキ”って」


「はい」

昼食前のことだ。(6話参照)


「その後に下着をじっくり観察するのが“基本のホ”になって…、動じずに脱がせることができれば“基本のン”が完了するのよ♪」


を習得するって訳ね」


…白鷺さん辛辣だな。まぁ、これが普通の考えだろうけど。


「貴弘君に外してもらうブラは、ホックが後ろに付いてるの。だから外してもポロリはないから安心してね。私はポロリしても良いけど♪」


「…姉さん。アタシに手伝って欲しい事って何なの?」


それは俺も気になっていたところだ。


「後ろを向いた私のTシャツをめくることよ。貴弘君はブラを外すのに両手を使うから、Tシャツが邪魔になるでしょ?」


「Tシャツを脱がないのは、ポロリを避けるため? 回りくどいことするじゃん?」


「ポロリしたら、貴弘君には刺激が強すぎるからね。刺激は少しずつ強くしないと。一応気を遣ってるのよ」


やはり気の遣い方がおかしい…。


「下を脱がすのはまた別の機会にするから、楽しみにしててね♪」


「下は絶対ダメ!!」


ブラのホックを外すなんて簡単だ。玲奈さんは俺を甘く見過ぎだな。


「もうそろそろ始めて良い? 貴弘君?」


「はい、いつでも良いですよ!」



 俺の返事を聴き、玲奈さんは背を向ける。それからすぐ、白鷺さんが彼女のTシャツを背中部分までめくり上げる。


…玲奈さんの日焼けしてない白い背中とブラ紐が見える。これだけでもセクシーに見えるのは何でだ? 俺に女経験がないからか?


「貴弘君、お願い♪」


「わかりました」

俺はブラのホックに手を伸ばして外そうとする。


「あっ…」


「玲奈さん、どうしました?」

指が背中に当たっただけで、そんな反応する?


「貴弘君の指がくすぐったくて…。そのまま続けて」



 それからもブラのホックを外そうとするものの、玲奈さんが動いたり声を発したりするので、思ったより集中できない。


集中できないと指先のコントロールがしにくく、細かい動作がやりづらい。これ、簡単そうで難しいぞ。


「須藤君、わざとのんびりやってるの?」

白鷺さんがしびれを切らしたのか、強めの口調で言う。


「違うって! 思ったよりムズイんだよ!」


「玲那。これも“女慣れ”の一環なんだから、温かく見守らないとダメよ」


「こんな情けないところを見せられたら“女慣れ”は必要かも…」


白鷺さんが女慣れを受け入れた? …って、それは後だ。いい加減終わらせないと。俺は全ての集中力を指先に、そして玲奈さんのブラのホックにぶつける。


……よし、やっと外せたぞ。長かった~。


「ブラを外せたんだから、あっち向いて須藤君。姉さんも早く着け直す!」

白鷺さんに強引に体の向きを変えられた。


「おめでとう貴弘君。私のイメージより時間はかかったけど、ちゃんとできたね♪」


女慣れの道は長く険しいな…。



 ブラを着け直した玲奈さんの合図で、俺は彼女と向き合う。


「玲那がいてくれて助かったわ。ありがとね」


「こんな事で礼を言われるのは複雑だけど…」


「そんな玲那にお礼をしてあげる」

玲奈さんはそう言って、彼女の手を俺の手に誘導して握らせた。


玲奈さん何でこんなことを? 白鷺さんのことだから、すぐ俺の手を払うはず!


「男の手ってこんな感じなんだ…」

白鷺さんは握られた手を見つめながら、独り言を言う。


おいおい、彼女は一体どうしてしまったんだ? 白鷺さんまでおかしくなったら、俺の身とメンタルは持たないぞ。頼むから正気に戻ってくれ!

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