第7話 もう手遅れか…

 玲奈れいなさんの部屋で女慣れの練習をする俺。そんな中、彼女の母親である玲美れみさんが「昼食ができた」と知らせてくれたので、俺達はリビングに向かう。



 リビングに向かうと、白鷺しらさぎさんは既に4人掛けのダイニングテーブルに腰かけている。俺はどこに座れば良いんだろう?


…玲奈さんが白鷺さんの前に座ったぞ。俺は玲奈さんの横で良いか。


「お待たせ~」


玲美さんがキッチンから2皿持ってリビングまで運んでくれた。彼女含め4人で食事するので、彼女は1.5往復することになる。


昼食のメニューは…、ホワイトソースがかかったパスタだ。とてもうまそうだな。


須藤すどう君がどれだけ食べるかわからないから、パスタにしちゃった。おかわりしたかったら言ってね。ホワイトソースはたくさん作ったから心配しないで」


…おかわりしなくても、俺の分は玲奈さん・白鷺さんより多いんだが? それでも難なく食べ切れるけどさ。


「わたしダイエット中だから須藤君にその分多くよそったけど、大丈夫そう?」


「大丈夫ですよ」


「さすが男の子ね~」


それから間もなく、昼食の時間が始まる…。



 「ねぇお母さん」

食事が始まってちょっと経過した時、玲奈さんが尋ねる。


「何?」


「彼氏じゃない男と下着買いに行くのって、アリ? ナシ?」


食事中に何を訊いてるんだ? 玲奈さんは?


「さすがにナシね。その人と服を買いに行ったことはあるの? まずはそれからじゃない?」


「そうだね…。貴弘君、下着の前に服を買いに行こっか♪」


「…げほげほ…げほ」

突然、白鷺さんがむせ出した。


玲那れな、大丈夫?」

娘を気遣う玲美さん。


「うん…。姉さん。アタシの勘違いだったら悪いけど、須藤君と下着を買いに行くつもりだったの?」


「そうだけど?」


「“女慣れ”の範疇超えてない?」


「下着で動じてたら、女に慣れたって言えないよ。貴弘君には立派な男になってほしいからね」


「立派な男じゃなくて、姉さん好みのHな男にさせたいだけでしょ!」


俺も白鷺さんに同意だな。俺の反応を見て楽しんでるように思えるからだ。


「須藤君。さっき姉さんの部屋で何やってたの? 正直に言って!」


言いづらいが、ごまかせる雰囲気ではない…。


「玲奈さんの下着を渡されたから、じっくり観察した」


「男に下着を渡すなんて、普通は考えられない…」

頭を抱える白鷺さん。


に囚われちゃダメだよ、玲那♪」


玲奈さん。煽ってるように聴こえるから、余計な事言わないで欲しい…。



 「須藤君。悪いことは言わないから“女慣れ”止めたほうが良いよ!」


白鷺さんは顔見知り程度の俺を心配してくれる。本当に嬉しい事なんだが…。


「いや、止めるつもりはないよ」


「何で?」


「やる事全てに納得してる訳じゃないけど、効果は出てるんだよ。初めて玲奈さんに会った時、すごく緊張して挨拶すらロクに出来なかったんだ」


「……」


「でも玲奈さんにいろんな“女慣れ”をされたことで、対応力というか、前みたいにドギマギしなくなったんだ。これからも続ければもっと成長できると思う」


「もう手遅れか…」

諦めた様子の白鷺さん。


「アタシ嫌だからね。クラスメートが変態行動が原因で逮捕されるの!」


俺だって嫌だよ! 絶対そこまで堕ちないから安心してくれ、白鷺さん。


「玲那。貴弘君を信じてあげて♪」


「姉さんがそれを言う!?」


「…若いって良いわね~」

俺達を微笑むながら見守る玲美さん。



 こうして、他愛ないおしゃべりをしながらの昼食は終わった。この後はどうする気なのか、玲奈さんに訊くとしよう…。

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