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その後、エーミルに魔法の練習が出来そうなくらいの広場に案内してもらい、周りを見渡して人が居ないかと安全を確認する。

「セイン、早くやろうぜー」

「分かったけど、ちょっとだけ何やるか、考えさせて」

と俺は急かしてくるエーミルを落ち着かせて考え込む。

今俺がまともに使えるのはファイヤーボールしか無いけど、けどこの広場でその魔法は危険だよなぁ、だったらあんまり上手に使えないけど、さっきの騎士が使っていたウォーターボールしかないかなぁと頷き

「エーミル、さっきの騎士がウォーターボールを教えるよ」

「あの魔法お前にも使えんのかよ」

「まあ、あの騎士みたいに使いこなせはしないけど、飛ばすくらいは出来ると思う」

「それでも、すげーよ、早速やろうぜ」

「分かったけど、少し集中するから、静かにしてて」

「おう、分かった」

とエーミルが真剣な表情でこちらを見てくる。

俺は恥ずかしくてやり辛いと思いながらも一度深呼吸して肩の力を抜いた後、集中をし始める。

手を前に突き出して、水の玉を想像をする。

すると水の玉が突き出した手の前に出来る。

以前よりも魔法が少し上手くなったかなと少し考えた後、更に集中し、水の玉を飛ばす想像をする。

すると水の玉が真っ直ぐに飛んでゆき、木に当たる。

「すげーよ、セイン。すげーよ、セイン」

とエーミルが大喜びしていた。

俺は出来た事にひとまずほっとした後、わざとらしくニヤつき

「これがウォーターボールだよ」

と自慢気に言うとエーミルは興奮した様子で

「すげーよ、早速教えてくれよ」

「まあ、焦るなって早速教えるから」

とエーミルの特訓を開始する事にした。


エーミルにやり方を教えるとうんうんと頷き

「なるほどなぁ、水の玉を作る想像をしてそれを前に飛ばす想像をするか、水の玉の想像は毎日水を入れているから簡単そうだなぁ、じゃやってみるか」

とエーミルは手を前に突き出した。

俺は少し心配しながら見守る。

「じゃ、いくぜ」

と声を出すと、俺のよりも遥かに大きい水の玉が出来ていた。

予想外の出来事にエーミルは驚いた表情をしていた。

俺は大丈夫かなと思い

「エーミル、しっかりしろ、気を抜くな」

と大きな声で言うとエーミルははっとした表情をした後、真剣な表情をする。

これでいけるかなとエーミルを見守る。

だが、エーミルが作った水の玉が地面に落ちてしまった。

「あー、せっかく作ったのに」

とエーミルが膝を落とし悔しがっていた。

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勇者に復讐する為に生まれ変わる ネオミャウ太 @neomyuta

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