第22話「捕縛と脅迫」シャルロット王女視点


「妖精の好物がわかったわ! アップルパイと桃のタルトとみかんのケーキと梨のパウンドケーキよ! 今すぐ用意して!」


「はい、王女様」


お姉様と会話したあと、用意された客間に入った。


客間にはすでに自国から連れてきた使用人達がいた。


「わたくしの策略にも気づかず、ペラペラと妖精の秘密を話すなんて愚かなお姉様。お姉様が皆にちやほやされているのは、妖精の加護があるからよね。お姉様から妖精を取り上げてしまえば……」


利用価値のなくなったお姉様は無様に捨てられるのよ。


「妖精を手に入れたらわたくしの天下よ。妖精が加護も麗しい王太子も全部わたくしの物になるの」


さぁ、有るべきものを正しい場所に戻しましょう。










「おやつは一日一個しか食べられないのだ〜〜。足りないのだ〜〜。アップルパイと、桃のタルトと、みかんのケーキと、梨のパウンドケーキを一度に食べてみたいのだ〜〜。ふぁっ! この匂いは!」


客室のテーブルにお菓子を用意すると、間抜けな顔をした少年が入ってきた。


新緑の髪に翡翠色の瞳、七歳ぐらいの宙に浮かぶ少年……お姉様から聞いた特徴に一致している。


間違いない、彼は妖精ね。


「アップルパイと、桃のタルトと、みかんのケーキと、梨のパウンドケーキがテーブルに並んでいるのだ! しかも『食べて』と書いたメモもあるのだ! きっとアリーが僕の為にサプライズで用意してくれたのだ! いただきま〜〜すなのだ!」


妖精は疑いもせずにわたくしが用意したお菓子にかぶりついた。


間抜けな妖精さん、睡眠薬入りのお菓子をたっぷり召し上がれ。








しばらくして皿の上のお菓子を全て食べ終えた妖精は、深い眠りにおちた。


使用人に命じ妖精を檻に閉じ込めた。


「大事な人質よ、丁重に扱ってね」


「王女様、妖精を連れてこのまま祖国に帰りますか?」


「いいえ。妖精の他にもう一つ手に入れたいものができたの」


「手に入れたいもの?」


「レオニス殿下よ。彼ってとってもハンサムじゃない? 殺戮の王子と言われてるぐらいだから、武芸に秀でてるはずよね? 頭の良さそうな顔をしていたから文武両道よね。何よりちょっと影があって長身で見目麗しいわ。彼はわたくしの理想にぴったり一致しているの」


「王女様は、王太子との結婚を嫌がられておりましたが」


「それは昔の話よ! レオニス殿下が、わたくし好みの美形だとわかっていたら、お姉様に譲らなかったわ!」


わたくしは手紙をしたため、お姉様に届けさせた。


「レオニス殿下は、元々はわたくしの夫になるはずだったお方…返していただかなくてはね」




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