第3話 五番勝負


第1戦

「はっけよい」

行司の軍配ぐんばいがかえると、両者が立ち上がった。と、いきなり破魔娘の前蹴りが塗手の股間に炸裂した。2度3度と、連続前蹴り。しかし、塗手は動じない。不敵な笑みをたたえていた。

「ぬははは。塗手ぬるで金玉きんぎょく金玉きんたまは最強だー」

「ひえ~」

一団から悲鳴が上がった。

「きっと、保護カップを付けているんだわ」

「変に股間が膨らんでるし」

塗手は呆然とする破魔娘のまわしをガッシと掴むと、強烈に引き付けた。

「いや~」

「いやらしい。スケベ心が丸見えだわ」

「すごい、まわしがあんなにくい込んでる」

塗手は、ガシッと足をかけた。両者は、ドッと倒れて重ね餅。

しかし、行司の軍配は破魔娘を指していた。

「おかしいだろう」

すかさず、沼地が物言いをつけた。沼地と行司、破魔娘側から侍女頭の谷尻伴たにしりともが出てきて協議。

「塗手金玉きんたまさんの手が先に着いてました」

「それはねえだろ。あれはかばい手だ。あんた、相撲、分かってんのかよ。それに、金的は反則だ。破魔娘さんの反則負け、隊長の勝ちだよ」

金玉きんたまさんの手が先に着きました」

「あのね~、その金玉は止めてくれないか。まるで、ワシが金玉丸出しして負けたように聞こえるじゃないか。沼地、もういい。次勝てばいいんだ」


第2戦

「はっけよい」

破魔娘は立ち上がると同時に、塗手の顔をめがけ猛烈な張り手を左右から繰り出した。

塗手は腕で防衛。すると破魔娘はパンチをボディに集中、前蹴りも繰り出す。

「とても、相撲とは思えないなぁ~」

阿郷が、眉をよせて呟いた。

猛烈な攻撃に耐えきれなかったのは、破魔娘の胸のサラシだった。次第に緩みが出て、ついにポロリと片乳が飛び出してしまった。

「ハッ!」と塗手の動きが止まったその時、強烈なアッパーカットが塗手の顎にヒットした。

尻もちを付いた塗手は、呆然と破魔娘の乳を見つめていた。


第3戦

「はっけよい」

塗手は立ち上がるやいなや、むんずと破魔娘のまわしを掴んだ。そのまま振り回す。

ぶんぶんと振り回すと破魔娘は宙に浮き、遊園地の飛行機状に飛んでいた。

「あ~れ~」

塗手は勢いをつけて、破魔娘を行司めがけて放り投げた。

「きゃー!」

文句無しの塗手の勝ちとなった。


 

 破魔娘側は、円陣を組んで作戦を練った。

「あと、一勝よ。何か、上手い方法はない」

「片乳で勝ったんだから、今度は両乳で・・・・」

「ダメよ。もう、驚かないわ」

「両手で乳を揉みにくるかも」

「顔面を突っ込んでくるかもよ」

「いや~」

破魔娘は、拒否した。

「なら、今度はまわしを緩めて、ハラリと落とすのはどう。驚くわよ~」

「そんなの、イヤ~!」

破魔娘は、悲鳴をあげた。


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