15.異変
15-1
俺達は順調に迷宮攻略を勧めていた
今は40階層を目指しているところ
35階層までは森のような場所がメインだったけど今は岩山に近い
アップダウンが激しくてトラップで足場が崩れ落ちるの事も多い
「階層ごとに季節が変わるのってどうにかならないのかな?」
シャノンが勘弁してという顔をする
36階層が春、37階層が秋、38階層が夏、そして今39階層は冬だ
36階層と37階層は風が強くてその風の中に花粉や胞子、砂利まで混ざって吹き荒れていた
38階層は灼熱の太陽が照り付ける
岩山には木々がないからその熱をダイレクトに受ける
その灼熱の中を走り抜けてこのフロアに入った途端凍えるような寒さが広がっていた
「2人共これを靴の上からつけろ」
俺はインベントリから取り出したアイゼンを渡して自分の靴の上から装着する
「これは?」
「滑り止め」
「何でこんなの持ってんの?」
「階層ごとに季節が変わってたから作ってもらった」
「「え…」」
2人が顔を見合わせた
「何だよ?」
「季節が変わってたからってなんでこれ?」
「春と秋は強風、夏は灼熱と来たから冬は雪か氷だろうと思ってな。魔法主体でも足元が滑れば安定しない」
「だとしてもこんなの初めて見たよ?」
理由が分かっても、見たこともないものを用意すること自体に納得が行かないらしい
「母さんに相談したんだよ。そしたら材料さえあれば作れるって言うから鉄のインゴットを1つ渡した」
「お母さん?」
「ああ。これ自体は元の世界にあったものだからな」
登山用の滑り止めだ
アニメの中でさえ出て来るメジャーアイテム
ああいうの無いかなって尋ねたらこの世界にはないけどって前置きしてさっきの言葉が出た
「そうなの?」
「そうなんだよ。まぁ旅の途中に山越えもあるからこのフロアが終わっても持っとけ」
「わかった」
「ありがとー」
2人とも俺が付けるのを見ながら真似して装着を終えた
「どんな感じか試しとけよ」
「うん…ぅわっ!」
シャノンがいきなりつんのめった
いきなり引っかかってこけるとか、魔物の前では致命的だろうが…
「すごいねこれ…」
「最初はちょっと戸惑うけど慣れてしまえば心強いかも」
ルークは魔法よりも剣の方が比重が高い
「これがあればこんな場所でも踏ん張りがききそう」
丁度迫ってきた魔物を切り倒しながら満足げ気頷いた
「私ももう大丈夫そう」
暫く怪しい動きをしていたシャノンも慣れて来たらしい
「じゃぁ進めるぞ」
今はまだ階段を下りてすぐの場所だ
「見た感じストーンウルフとアイスウルフか?」
ストーンウルフは体のかなりの部分が石で覆われている
でも関節部分は普通のウルフと変わらないからさほど苦戦はしないだろう
動きが速いからその関節部分を狙うのが難しいかもしれないが…
アイスウルフは氷属性の青いオオカミだ
この世界の魔物は属性に寄った色合いが多くて違和感が半端ない
何かの属性が付いた魔物がいればその他の属性も必ずと言っていい程存在する
でもランクはバラバラだ
熊は地属性のストーンベアのランクが一番高いけどオオカミは闇属性のブラックウルフのランクが一番高い
属性でランクが統一されてれば遭遇した時にも判断しやすいのにと良く思う
「どっちもCランクだったよね」
「正解。シャノンとは相性悪そうだ」
「光があるから問題ないだろ」
そんなことを言いながらフロアの中を歩き始めた
現れたウルフを倒し、次に現れるまでは薬草を採取する
迷宮内でも中級の30階層以降はそれなりにいい薬草を見つけることが出来る
途中休憩を順に取りながらそれを繰り返していた
「お、ブラックウルフ2匹とストーンウルフ」
同時に現れた2種類のウルフの片方、ブラックウルフはBランクだ
「このタイミングでエンドレス入ったら最高なのにな」
自然とシャノンがストーンウルフ、俺達はブラックウルフに対峙する
同じBランクでも完全防備のオークジェネラルと比べればはるかに楽だ
ただ問題は早さよりも影を移動する点だ
一瞬で背後を取られるなんてことも普通に起こる
「ん?」
「え?」
「うそ…」
シャノンがストーンウルフを倒した直後俺達は同時に声を漏らした
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