13-3
「ハイオークが上位種じゃ…なかった…?」
トランさんの声が震えている
目の前には1頭だと聞いていたハイオークが10頭、そしてその上位種である、Bランクのオークジェネラルがいた
「すぐに応援を…」
「大丈夫。トランさんは念のためここにいてもらっていいか?」
因みにトランさんはCランクまでいった元冒険者だ
現役ではなくても万が一の時俺一人だと2人の体は運べない
「しかし…」
「シア、ジェネラルとハイオーク2頭いける?」
「任せろ」
「じゃぁ私たちはハイオーク4頭ずつね。素材は倒した分を貰うってことでいいよね?とりあえずハイオーク1頭ずつ共有に回すってことにすればいいかなって」
「後で分けんの面倒だからお前らがそれでいいなら俺は構わない」
素材の価値としてはジェネラルの方が当然上だけど2人がそれで問題ないなら俺が何か言う必要はない
「その分ハイオーク1頭分貰えるから問題ないよ」
「私も」
「なら決まりだな。あとは…とりあえず手前の雑魚は後で片付けるか」
「「「え?」」」
3人が同時に俺を見た
俺は苦笑しながら念動力を使う
『掘削』
オークが30頭は入りそうな穴を3つ群れの真下に掘り下げる
面白い程オークとオーガがその穴の中に落ちていた
『埋没』
『グレーチング(蓋をする)』
オーガたちが見事に埋まった上にどでかい岩の蓋をする
「一旦これで。でもあんま長くは持たないかも」
あいつらが窒息するとも思えないし、あのままくたばるとも思えない
水を入れてもあまり意味はなさそうだから上位種をさっさと片付けた方がよさそうだ
「受け持つ分を出来るだけ引き離すぞ。トランさんは馬と隠れててくれ」
「あ、あぁ…」
目の前の光景を呆然と見ていたトランさんは、慌てて馬を連れてオーガたちの視界に入らない場所まで退避した
俺達は同時に動き出す
ハイオークの元に向かいながら穴に落ちなかったオークやオーガを殲滅・回収する
動きが遅いおかげで然程苦労はしない
「とりあえず先に1頭」
風魔法で目の前の1頭の首を切り落とした
そしてオークジェネラルとその一番近くにいるハイオークに掠めるように魔法を放つ
俺を認識した2頭は鋭い目を向けて来る
「俺は奥に行くからな」
2人は引き付ける方が楽だろうからと俺は奥に2頭を誘導した
ジェネラルの首周りをはじめとした急所には金属製のやたらと分厚い防具が見える
「あれは簡単には切れそうにないか…」
目の前で首を切り落とされるのを見たハイオークも同じ手は使わせてくれなさそうだ
怒り狂ってるな…
そう思いながらシャノンとルークを見ると同じように自分の受け持ちを引き離したところだった
2人共3頭を動けないように足元を固めるところから始めているようだから問題もなさそうだ
「まずはハイオークからだな」
俺は剣を取り出すと炎属性を纏わせる
こっちに向かってくるハイオークめがけてこっちからも距離を詰めると膝くらいの高さで薙ぐ
「ちょっと弱かったか」
右足はきれいに切断したものの左足の骨で止まった剣を無理やり払って押し切った
首を警戒されてる以上、別の場所を攻めるしかないから仕方がない
「あとは…」
風魔法で体を浮かせるとハイオークの頭頂から剣を突き刺した
鈍い断末魔を響かせながら巨体が崩れ落ちていく
それを見ていたオークジェネラルがその手に持つ斧を振り上げたのが見えた
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