13-4

「やば…」

咄嗟にかわしたものの足元のハイオークの巨体で体勢体勢が崩れた


「シア!」

「問題ない」

こっちに気を取られたルークにそう返す

急所を金属で守ったオークジェネラルを見据えて考える

物質交換で金属に影響を与える方法を考えるのも有だけど…


「流石にその時間はないか」

簡単に地面を抉る斧を振り回されている手前、冷静に考え続けるのはちょっと厳しい

急所が狙えないなら全身にダメージを与えるか?


「腕だけでも切り落とせたら楽なんだけど…な!」

攻撃を受け流すもその攻撃の重さに辟易する

多分こっちの体力が尽きるのを待ってるんだろうけど…


「くそっ」

それなりに体がでかくなったとはいえ父さんたちには遠く及ばない

オークジェネラルの斧は100kgくらいだって聞いたことがある

それに勢いが乗ったものを50kg前後の俺が受けてる以上長引けば先はない


一体あんなものどこで調達してくるんだ?

通常の剣でどうすることも出来そうにない装備に、この場にそぐわないだろう疑問まで浮かんでくる

その時俺が弾いたオークジェネラルの斧が奴の顔面を掠めた


「チャンス!」

頑丈そうなゴーグルが壊れて地面に落ちていくのを見て俺は剣を構えた

一瞬で距離を詰めると跳躍のタイミングで風魔法を使って飛ぶ

守るものの無くなった目から脳天に向けて剣を突き挿した


「グォォォォオォ……!」

俺を張り飛ばそうとするのを避けながら念動力を使う

『爆発』

次の瞬間オークジェネラルの頭部は粉々に砕け散っていた


“バシッ…”

「クッ……」

一瞬気がそがれていた俺は、最後の悪あがきのように振り回された手で頭から張り飛ばされていた


その先は穴に落ちなかったオークやオークの群れの中だ

「マジか…」

まぁその勢いのおかげで俺を受け止める形になったオークは死んだけどな

あのまま地面に落ちてたらと思うとぞっとする


「とりあえず雑魚を片付けるか…って、いてーなぁ…」

頭部に鈍い痛みが走る

視界も少しかすんでる感じがする

威力はバケモン並みってことだけは理解できた


俺の規格外だと言われる耐性がある上でのこの衝撃って…まじバケモンじゃん

俺は体力回復薬を少し口に含んでから残りは張り飛ばされた衝撃でまだ揺れる頭からぶっかける

外傷じゃないから効果があるかは分かんねーけど気休め程度にはなるはず


雑魚は身を守る装備があるわけでもないから、風魔法で切り倒してはインベントリに回収する

そうしないとあまり動く必要がないとは言え足場が悪すぎるからな

それこそさっき体勢を崩したの二の舞になる

暫くするとルークも終えたらしくこっちにやってきた


「その穴の蓋ずらすから出てきたのから倒せよ」

「りょーかいー」

頭数制御の聞いたエンドレス状態にルークは嬉々として向かって行く

いつもと違うのは相手が余裕で倒せるレベルという点だ


「シア!こっちもー」

ルークが終えてから10分ほどで自分の受け持ったハイオークを倒したシャノンは既に穴の前にいた


「気は抜くなよ」

「はーい」

随分軽い返事を聞きながら2つの穴が空になるのを待った


「シアそっちの穴は?」

「シャノンが終わったら開ける」

「へ?」

「同じぐらいの雑魚が穴に落ちずに残ってたからな」

「あぁ、そういうこと?別にいいのに」

すでに十分倒せてるからという意味なのだろうが…


「ジェネラルの斧受け流すのに疲れたから休憩させろ」

これは事実だ

まぁこの穴の中のを倒すのに支障はないけど


「疲れた~」

シャノンがようやく片付け終えて俺達の方に来た


「お疲れ」

「これで終わり?」

「いや。後1つ穴が残ってる」

「え?シアは?」

「穴に落ちてなかったのが同じくらいいたからな」

俺はそう言いながら2人に体力回復薬を渡す


「一応飲んどけ」

見るからに体力が削られてる

こういう時が一番危ないんだよな


「助かる」

「ありがとシア」

2人は素直に受け取ると一気に飲み干した

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