第45話 戦後の街

私は街があった方向に向かい街に着いたがその街は魔族に支配されているという感じはしなかった。


「うん?戦争に勝ったのか?」


どのぐらいの月日が流れているのかは知らないが確実に戦争は起こり終わった筈。そしてあの魔王に人類が勝てるビジョンは浮かばない事から負けた事はほぼほぼ確実なのだがここは普通に前と変わらない。


「まぁ、いいか。取り敢えず両替商のところに行って金貨一枚バラして適当な食糧を買い込むか。」


幸いにも結構物価が上がってようが困らない程度の手持ちはあるため金の心配は必要無い。竜の素材とはそれほど高価な物なのである。うん、そもそもあのおっさんや上澄みである筈の刀の人の反応的に単騎で竜ぶっ殺せるのも竜をぶっ殺す事自体も珍しいみたいだしダイヤモンドとか金とか白金とかみたいなものなのかな。


「取り敢えず両替商を探さないと。この規模の街なら多分確実にいる筈だし…。」


一応この世界に両替商という概念があるのは確認済みである。


「何処にいるかな。両替商って一応他の国の通貨を変えたりもするから入り口付近にいるとは思うけど、どこだろ?」


取り敢えず、街の入り口で検問がない事に不審がりながらも街の中へと進み目的の場所を探す。


「両替商ー、どーこかなー。」


グレースが街へ入ると同時に首に剣が刺さる。


「がっ!!?」


当然驚くが剣を刺されたまま、刺した相手を掴むとその肉に指を突き刺し固定する。


「しぃねぇ…。」


気道に穴が空いたためか空気が途中で漏れ発声に異常が出るがそれどころじゃ無いので相手の顔面が肉片と化するまで殴り続けた。相手が動かなくなったのを確認し剣を引き抜き亜空間にしまうと刺されて空いた穴を治し襲ってきた相手の顔を確認する。


「なるほど、魔族に占領されて人間が入ってきたから殺しに来たのね。うん、無血開城でもしたのかここは?」


取り敢えず魔族の装備品を剥ぎ取り、その魔族に成り済ます事で現状の確認と食糧の確保をする事にする。魔族の死体は一時的に亜空間に仕舞い発見されるのを防ぐ。


「街並みは変わらないのにこれは酷いドッキリだわ。」


グレースはそう思う事しかできなかった。


「うーん、完全に人間居なくなってる。まぁ、どうでもいいか。うん。」


取り敢えず早めに出た方がいいのは確かだし、早く両替と食糧買わないと…。


私は適当に入り口付近を散策し魔族が営む両替店を見つけ、両替を済ませる。と言うか人と魔族の通貨は違うから人の通貨を処分するためちょっとサービスしてくれたのには驚いた。魔族とは言え人間の通貨も使うだろうし、金貨自体は溶かして作り直せばいいって発想に至れるなら銀貨も銅貨も溶かして作り直すって発想に至れよ。


「よし、取り敢えず両替は済ませたし、多少はここの通貨に変換したし、食糧を買い込むぞー。」


次に商店街がありそうな場所を探す。普通に考えて真ん中あたりだろうし、そこらへんを重点的に探せば見つかるでしょ。魔族と言えど食糧は必須なんだし…。


「てか、ここ最近何も食べてないし何か食べたいなぁー。」


食糧は必須とか言いながら何ヶ月か断食しても普通に生きてる私はなんなんだってなるけど、多分環境適応のスキルのせいだと思う。お腹減った状態にすらならなくなったし人としてはどんどん壊れていってる気がする。…気のせいかな?


私はそんなことを思いながらいい感じの店を探し穴場の老舗ぽっい店に入る。建物の損壊なく魔族が占領してるみたいだし、少しでも人間の雰囲気が残ってる場所に入りたかったのかもしれない。

ただ、それは最悪の選択だった。

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