第44話 ステータス確認
グレースはアペプに足元を舐められ、正気に戻った。
「うん、何。どう言う事?取り敢えず殺し損ねたのは分かるけど、どう言う状況?」
いや、恐らくこの森から生物が等しく消えたのはあのヤバい奴が原因だろうけどさぁ、連れ去った奴何者?ソニックブーム起こして爆音鳴らしながら上空へと消えて行ったけど、何?
「状況飲み込めないけど、ひとまず魔族がビュンビュン飛び回る程度には治安悪化したのか、安定したのかどっちかになった訳か。平和的に征服でもしたのか?」
色々疑問ではあるがまずは本を開く事にする。これで覚えられるスキルに悪いモノは無いしあったとしても使わなきゃ良いだけだしね。開けて損はない。今回の賞金とでも思っておく事にする。
「あぁ、開くと溶けるように消えてくこの感じちょっと懐かしいかも?」
この本の不便なところを上げるとすれば覚えたスキルがなんなのか石板に触れないと分からない所かな。
名前:グレース
性別:女
種族:魔女
スキル:氷結魔法、回復魔法、魔力循環、身体能力強化、解毒、鑑定、妨害、即時翻訳、温度変化無効、環境適応、浮遊
固有スキル:春風駘蕩、凍体、不老、時空間魔法、超恢復
「…あ、ロマンロマンですっかり忘れてたけど、私鑑定のスキル持ってたんだ。…おい、今まで見てきた奴の鑑定結果って見といた方が良かったのでは?…はぁ、鑑定。」
浮遊:空中移動を可能とするの。結構珍しいスキルなのー。
「あー、アペプとかも鑑定いけるかな?」
名前:アペプ
性別:なし
Lv.21
種族:邪神竜
スキル:龍の息吹、竜の咆哮、龍魔法、身体能力覚醒、再生、変身
固有スキル:魂の楔、魔力成長、神の悪戯
「うーん、竜と龍の違いは幼体か成体かの違いだって言ってたけど、竜と龍が混在する事とかあるのか?あと、カッコ書きが消えてるのは?一応全部鑑定してくか。」
種族
邪神竜:邪神龍の幼体なのー。神族の一種であり、古代種の一種でもあるのー。でも、この子達はみんな滅んだ筈だから居るのはおかしいのー。不思議なのー。理解出来ないのー。
「おい、待て待て。なのー神でも理解できない事象が起きてるんだが?後であのダンジョンに聞きに行った方がいいのか?いや、遠いし、面倒臭い。そこはロマン感じても多分教えてくれる訳が無いし、知りようがないから諦めるしか無いか…。」
グレースはロマン好きで馬鹿みたいな行動しか起こさないが確実に不可能なことを夢見て突き進む程愚かでは無い。現にグレースは前世で今の時代の技術では到底不可能であると言われているタイムスリップなどの技術に心憧れた事はない。知らない事に夢を馳せても皆が不可能とし、不可能である理由が明確であるならばグレースはそれから興味をなくす。
「さて、続き続き。」
Lv.:この世界には無い概念なのー。私の権限では調べようが無いから知りたいならさらに上に問い合わせてなのー。
スキル
龍の息吹:龍が使う息吹なのー。辺り一帯を焼き尽くしたり、不毛の大地に変えたり、その龍の種によって効果が変わるのー。
竜の咆哮:竜の威嚇なのー。一定以下の生き物はみんな逃げてくのー。
龍魔法:龍が使う魔法なのー。超古代から生き残ってる古龍が使うのー。習得には本当に気が遠くなるほどの年月が掛かるらしいのー。
身体能力覚醒:身体能力強化の超上位互換なのー。破茶滅茶に身体能力が上がるのー。
再生:肉体の損傷をポコポコ治すのー。でも、魔力効率は異常に悪いからあまり多用は厳禁なのー。
変身:言わばメ⚪︎モンと同じなのー。見たことがある姿になれるのー。でも、本物とはちょっと違うのー。慣れてくるとイメージした姿にまでなれるから結構便利なのー。
固有スキル
魂の楔:魂の契約が成った状態なのー。魂の契約自体の条件がクソ面倒だしあまり見かける事はないのー。契約内容は当人達しか知らないのー。
魔力成長:魔力系の成長が著しく上昇するのー。若しくは魔力を喰って成長する体質の事なのー。こればっかりは表記同じだから感覚で理解して欲しいのー。この世界を構成するシステム自体が万能でも万全でもないからこう言う表記被りはたまにあるのー。
神の悪戯:神族特有のスキルなのー。種族固有スキルって奴なのー。下位の存在に対して些細な悪戯を行えるのー。これ以上は私にもとばっちり来そうだから秘密なのー。
「おぉう…。なんじゃこれ…。もう、なんか私なんかが知って良い情報じゃ無い気がするんだけど大丈夫かな?この神の悪戯とかでぶっ殺されない?いや、多分私の前世の死因ってこのスキルだよね?え?何?は?」
あまりにも多い情報を前に漠然とするしか無い。と言うか、知られる事が想定されていないんじゃ…。それになのー神ポ⚪︎モン知ってんのかよ!!?いや、確かに知っててもおかしくは無いけど、雰囲気ぶち壊し過ぎでは?まぁ、そんなことに気にもしないんだろうけどさぁ。
「キュー?」
「大丈夫かなー。お前はこんなにも可愛いもんなー。」
こればかりは深く考えても仕方ないし、この可愛い生き物が私に敵対心を抱いていないのならばそれでいい。うん、だってこんなヤバい情報が書かれてるスキルとか持ってる子が敵対してきたら明らかに終わりだからね。恐らく神の悪戯という固有スキルで一回死んでる身としてはそれだけは確信している。
「それにしてもこの短時間でちょっと太った?」
「キュ〜?」
身体が少し大きくなったようにも見える。でも明らかに少しお腹ぽっこりしてるし何か拾い食いしてるのは確か…。拾い食いで体調崩されても困るから拾い食いはやめて欲しい。
「ねぇ、変身で動物の姿になれる?」
この森には恐らく生命が生息していないだろうし、街に買いに行きたいがアペプを狩らせる訳にはいかないからどうにか見た目を誤魔化して欲しい。そうしないと途中置き去りにして戻ってくるしか方法ないし…。
「キュー!!!」
アペプが急にバク宙をすると同時に姿が変わる。
「可愛い…。破壊力えぐ…。」
着地すると同時に黒猫と化した。
「んん?体重軽くなった?感覚的にはペットボトルより少し重いぐらいだから2〜3kgぐらいでしょ?明らかに軽くなってる気がする。身体痛くない?大丈夫?」
「キュー?」
「大丈夫ならいいけど、でも本物とはちょっと違うところってなんだろ?」
アペプの身体を一通り調べると顎の下辺りにチクッっとするものを見つけた。
「あー、竜種の場合は逆鱗がそのままになるのね。でも、そこまで問題はないかな。多分人とかの毛深くない動物になるとそこまで気にならないか。」
私はアペプを頭に乗せながら街があった方向へ向かった。
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