第42話 不可解な現象
私とアペプは一番近くの森林の中を散策していた。
「おっかしいなぁ。モンスターどころか野生動物、更には昆虫すはいない。こんなに豊かな土地なのに…。絶対何か良く無いことが起きてるでしょ。」
植物以外の生物が誰もいない。
「む、これは食べかけの木の実。腐ってないしまだ新しい。その近くの木には爪で引っ掻いた跡みたいなものも沢山ある。…絶対近くに生き物がいたはずなのに音もなく消えるなんて事ある?」
一部のモンスターが逃げる心当たりはあるがそれで全て居なくなるなんて考えにくい…。
「モンスターが逃げるとしたらあの強烈な光しか思い浮かばないけど、ここと遺跡って結構距離離れてるし警戒心が高いモノだけが身を隠すと思うんだけど。」
その他の要因としては私の魔力量や性質とかも考えられるがオーガは普通に襲ってきたし、これも全員消える要因としては薄い。
「くぅー、ミステリーの世界に迷い込んだみたいで面白い。って、今はワクワクしちゃダメでしょ。うん。優先順位はちゃんとわきまえないと死ぬから。」
危ない危ない。普通にアペプ置いて楽しむ所だった。この子が暴走したら多分簡単に私死ぬのに可愛過ぎて脅威判定出来てない。
「うーん、それにしても生物に出会えなければ肉も手に入らないからこの子の餌どころか私のご飯も…。魔族と戦争するって言ってたし、食糧は貴重だろうから金で買えるかどうか。そもそもこの子をこのままの姿で街に入れたら殺す対象になるよな。」
街で買うにしてもこの辺の街が残ってるかどうか。どのぐらいの月日をあの場所で籠ってたか分からないが確実に開戦はしていると思う。うん、私の時間感覚ですら数ヶ月は経ってるし。
「やっと見つけたのじゃ。遊ぶのじゃ!!」
「は?」
森の奥から猛スピードで何かがこっちに突っ込んできた。
「あがっ!!」
当然対応できるわけもなく、その何かによって吹っ飛ばされる。木々を何本か折り岩に背中を強打する。当然内臓がいかれて口から出てはいけない何かが出ていく。それと同時にこの不可解な現象の首謀者を理解する。
「む、やはりこの程度では死なぬよな。さぁ、お主妾と共に遊ぶのじゃ。」
こいつはヤバい。本能的にそれを理解するが突然の襲来に腹の虫が治らないがため逃げるという選択肢が取れなかった。
「お前なんなんだよ。人が楽しんでる最中に殴り込みにくるとか頭いかれてるだろ。殺すぞ。割と本気で。」
辺りを凍りつかせシャリシャリと音を立てながら何者かに近づく。
「アペプは隠れてて。これは私一人で殺す。」
少し残っていた理性でアペプを避難させ、もう一回猛スピードで襲い掛かろうとする何者かの肩を掴み顔面に頭突きをお見舞いする。ぐしゃっと相手の鼻が潰れる手ごたえとを感じるとすかさず鳩尾目掛けて拳で強打した。
「ふむ、パパと遊べるだけはあるな。妾の名はマーラ死ぬ前に覚えておくといい。」
向こうも本気なのか一気に雰囲気が変わるがどうでもいい。お前が死ぬまで殴るのをやめないから。
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