第41話 食料問題
「そう言えばこの子は何食べるんだろ。」
龍でも竜でも肉食だった気がするし、神話とかに出てくる奴は大体生け贄食べてたよなぁ。やっぱ人か?流石に人を生け取りにして食べさせてあげるのは気が引けるし…。だってそこは超えちゃいけない一線でしょ?正当防衛ならまだしも餌にするために狩るなんてダメでしょ。
「うーん、モンスターの肉とかなのかな。それとも魔力?何食べるの?」
「キュー?」
「そんな可愛い素ぶりしても餌分かんないとここにいる間に問題起きるだろうし…。仮にも神種が暴走なんてしたら魔王の比にならない被害出るでしょ?」
仮にも神とつく種族の幼体だ。勢い余って殺される可能性もある。飢えとはそれだけ生き物を凶暴化させる要素であるため放置していていい問題では無い。まぁ、この子を置いて逃げれば多分問題無いけど、こんな可愛い生き物を放置するなんて私の良心が痛む。
「んー、モンスターの肉は全部使っちゃったしなー。アペプはここから出られるの?」
「キューキュー?」
モンスターを狩るにしても何故かこの遺跡にはモンスターが一匹もいない。アンデットとかなら湧きそうな感じがするのに本当に誰もいないから外に出ないと食料の確保は難しい。
「そっかアペプにも分からないか。じゃあ一緒に出てみよーよー。」
「キュー!」
私はアペプを抱き抱えながら遺跡の外に出る。ちょっと、私の身長とアペプの体長的に歩きにくいが可愛いので気にしない。
「…外に出ても消えてないって事はあの遺跡でのみ活動を許された生命って事か。」
こう言う生成生物って一定の範囲外に出ると消えるイメージだったけど異世界は違うのか。
「さて、狩るよー。」
「キュ〜!」
私達は遺跡から一番近くの森へと向かった。モンスターと言えど生物なので森の方が生息数が多そうだと言う安直な考えである。
ー別れたばかりのおっさんー
グレースから竜の鱗やら牙やらの素材を買い取った商人のおっさんは早速コネを使って竜の素材を加工出来る職人の元へ来ていた。加工する目的は素材だけではほぼ利益が出ないためである。最高品質の素材には最高品質の加工を施して初めて商品としての価値が生まれるのだ。
「爺さんこの素材で最高の装備を作ってくれ、時間と金はいくらかけても構わん。」
「五月蝿いぞ若造!!」
明らかに堅物の年寄りが作業場から顔を出した。
「相変わらずだな。その反応は素材を見てからでも遅く無いと思うぞ。」
「…はぁ、今度はどんなゴミを持ってきたんだ?」
おっさんは年寄りにグレースから買い取った素材を見せる。
「ほぉ、ここまで美しい鱗は初めて見た。傷一つつけずにどうやって竜から鱗をはぎとった?」
「これはたまたま拾ったことになっている。」
「む?」
「はぁ、つまりだな。これは偶々拾っただけで誰かが討伐した事にはなっていないからその方法は分からないって事だ。ここまで言えば分かるだろ?」
「成程、知られたく無いという訳か。」
そう言いながら年寄りは鱗を舐め回すように観察している。
「どうだ?加工してみる気になったか?」
「ここまであり得ない素材を渡されて引き下がる訳が無いだろ。半年ぐらいったらまたこい。」
「了解。」
おっさんがその場を後にすると年寄りは早速工房へと籠っていった。
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