第40話 起きた事象
あれからどれぐらいの時が経ったのかすら分からないが私は超巨大な器に自身の血液をなみなみ注ぐ事ができた。この量の血が私から出たなんて考えられないぐらいの量である。再生系のスキルがあって良かったと心から思う。
「あー、大分髪伸びちゃってるなー。本当、どのぐらいの期間注ぎ込んでたんだろ。」
まぁ、どのぐらい時が経とうが不老のスキルがある限り問題ないんだけど。
「さてさて、そんなどうでもいい事はさておき。生ごみぽーん。供物ぽーん。」
亜空間から邪龍と邪竜達と本物の竜を取り出しそれぞれの場所に仕分ける。邪龍は生きてるから生け贄の器に、邪竜達と本物の竜は供物の器に。入れてみると分かるが邪龍ってやっぱ超巨大だったんだ…。
仕分けて入れ終えた瞬間、辺りを瞼を閉じていても目が秒で潰れる程の光を放った。
「んくぅー、酷い。この世界って特別な何かは目潰しが基本なの?」
この世界に転生して初めて目潰しされた機械が脳裏に浮かぶがアレの比では無い。目の再生が終わりやっと前が見えるようになると、目の前に凄く可愛い生き物が浮いていた。
その生き物は大きな瞳にちっさな翼、胴長で蛇のようにも見える。抱き枕にするのに丁度いいぐらいの体長をしている。
「何この生物。超可愛い。」
グレースはその人形のような可愛さに思わず全力で抱きしめてしまっている。ロマンとかその他諸々を一旦忘れるぐらいには一目惚れしているらしい。
…ロマンに狂った少女ではあるが一応こう言う感性は普通の女の子のようだ。
「あー、駄目。可愛い…。尊い。…石板使えばステータス見れたりしないかな。お名前なんて言うんだろ?」
私は亜空間から石板を取り出しこの可愛い生き物に押し付ける。すると、目の前に文字列が浮かび上がる。
「む?鏡文字だ。…あー、ステータス表示してる者の方向を優先して表示するのね。」
私は可愛い生き物が向いている方向を私と同じにして再度石板を押し付ける。
名前:なし
性別:なし
Lv.1
種族:邪神竜(魂の契約済み)
スキル:龍の息吹、再生、変身
「お前こんなに可愛いのに神の一種なのか!!くぅー、ロマンあるぅ!!…待て待て、お前だけLv.なんて概念搭載されてるのかよ。ずるいけど可愛いから許す。ずっと一緒にいようよー。魂の契約なんて謎項目あるし多分無理だろうけどせめてここにいる間はこの可愛さを堪能してやる。」
腹をわしゃわしゃしながら可愛い生き物をただ愛でる。なんかこの可愛さとあざとさは愛犬を思い出すよ。
「野犬を調教してからは怪我減ったっけなぁ。野生動物の危機察知能力は非常に高いからロマンを求めて探検してる時に役立つし、可愛いし最高だったなぁ。まぁ、私が居なくなっても元は野犬だし餌あげた事ないからあのまま生き残ってるだろうなぁー。」
因みに私が野犬を下につけた方法はどちらが野生動物として上か分からせただけ。犬ってのは負けを認めた相手には最期まで従順になるんだよ。たまに挑みに来るがその度にわからせるのは手間だけど、余計な争いを避けるためにも居た方が便利だし調教しておいた方が自分のためになる。
「本当に可愛いな。そうだ、名前つけたあげるよ。竜とは言えど蛇っぽいからアペプでいいんじゃないかな。混沌とか破壊とかの象徴とも言われる神の名前だよ。大体が邪龍関係が元だろうしピッタリじゃない?」
すると可愛い生き物は喜んでくれたようなのでこれからはアペプと呼ぶ事にする。
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