第39話 遺跡探索

一日程走っただろうか。私は目的地へと到着した。


「やっほー、誰もいないラッキー。最高、待ちに待った遺跡探検。絶対古代の遺物とかそう言うロマンと未知に溢れた最高の品物見つかるぞー。あー、考えただけでワクワクが止まらない。」


私は心躍らせながら、遺跡の中へと侵入する。遺跡の中にも気配は感じないので冒険者とか学者とかは居ないだろう。


「うぉー、すげー。真っ暗なのに光源を確保していた痕跡がどこにも無い!!どうやって作り上げたんだろ。遺跡生成魔法とかあるのかな?」


何もかもが最高!!


「お、この部屋は何かな。この世界は割と土葬が主流らしいから遺跡の目的が豪華な墓ならば中心の部屋とか、占い的に良い方角とかに埋められてる筈。光が入ってこない程度には密閉されてるからもしかしたら何千年も経ってるけど死臭とかも残ってるかもー。墓荒らしは趣味じゃ無いけど、古代の遺跡が墓ならば墓荒らしにでも何でもなる!!」


何千年も経ってるから金銀財宝とかのお宝とかは盗掘されてるだろうしそっちは期待していない。あくまでも私が期待するのは古代のロマン溢れる不思議技術。この世界には魔法という概念があるからそう言うのもあったら知りたいかも。自分にできずともロマンさえ摂取できればいいもん。と言うか使えないからこそ想像の余地があって面白いから簡単に使える技術では無いで欲しい。


「むぅー、この遺跡の壁や天井の紋様見覚えのあるぞ。」


確か天使が居た所でも同じような紋様が入ってなかったっけ?


「もしやこの遺跡を作ったのは天使?いや、早計は良く無い。そもそもそれなら天使は何故ここを作って放置し続けているのかが分からない。あそこみたいに実験場って訳ではなさそうだし、天使の立場になって考えろ。」


そもそもこの情報を渡して来た天使が自分が作りましたがオチの情報を渡すとは考えられない。つまり、これは昔の知的生命体が天使の作った何かしらのモノを見て模した建物の可能性の方が高い。…一旦その仮説で探索してみよー。


「遺跡の紋様の謎解けたら絶対面白いだろうなぁ。一旦それは置いといて全ての部屋探索してそれから考えた方が良さそうだ。」


うん、全体を見ていないのに仮説を立てても無意味だしね。一部の紋様がたまたま天使のに似た可能性も無きにしも非ずだし。


「む、さっきまで何の匂いもしなかったのに変な匂いが…。」


匂いがする方へと歩を進めると目の前に巨大な扉があった。明らかに外観と大きさが合わない事から恐らく何らかの魔法がかけられているのだろう。

その扉の前に超巨大な三つの器があり、それぞれ器外側に文字らしき何かが彫られている。


「なんか書いてある…。」


目の前の文字が歪みいつも通り翻訳される。


“供物を捧げよ”

“生け贄を捧げよ”

“血を捧げよ”


「ほぉ、三つの台座にそれぞれ必要な物を入れると何が起こるのかな。こう言うのって怪しげな宗教とか都市伝説とかでしか見た事ないや。でも、ここは異世界!!絶対何か起こる筈!」


供物と生け贄って同じじゃないのか?なんて思ったが取り敢えず指示通りにしてみる。丁度処理したかった生ごみあるし!

取り敢えず自身の心臓を刺し血の器に鮮血を大量に注ぐ、自身の再生能力に邪魔されそうになるが刺したままにしながら時々動かす事によって再生を阻害し鮮血の供給を続ける。


「一体何日かかるか。血の鮮度は持つのか。暫くは耐える期間だぞー。」


たとえ何が起ころうと起こらまいと試さないと言う選択肢は無い。ロマンや面白そうな事があれば何でも試すに限る。やらない後悔よりやる後悔って言うでしょ?

私は自身の心臓を弄りながら器に血が溜まるのを待った。

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