第30話 護衛仲間
「ねぇ、おっちゃん。一ついい?」
「…なんだ?」
「おっちゃん。そう言う仕事じゃ無いよね?ギルドに嘘ついた?」
「当たり前だろ!ギルドに虚実を述べれば即処刑。商人がそんな事するわけ無いだろ!!」
「じゃあなんで、護衛の仕事請け負ったのが皆んな女なんだよ。ギルドにはほとんどむさ苦しいおっさんしか居ないのにおかしく無い?」
「ギルドに聞いてくれ。俺は俺と積荷を守れる奴の派遣を依頼しただけだ。無実だ!!」
「言ってる事は分かるけど現実おかしく無い?」
「疑ってるならギルドに聞け。第一俺は金以外には頗る興味ない。」
そうはいってもガチムチのおっさんばっかの業界から派遣されたのが若い女の人二人ってのは怪し過ぎる。私含めると三人とも女。まー、流石に一番若いのは私だけど。
「ふーん、まぁ、よろしく。」
「あんたが噂の魔女ね。意外と普通ねー。」
「よろしく…。」
「出発まで後30分だ。準備はおわらせとけよ。」
「じゃあー、出発の時間になったら言って。寝る。」
グレースは荷台の屋根の上に乗ると横になり入眠した。
「身軽。」
「ちょ、速っ!!?寝るのも屋根に登るのも速い。跳躍力どうなってる!?」
「まぁ、Sは人外だからな。お前らは準備とかしなくて良いのか?」
「終わってるわよ。」
「大丈夫。」
「じゃあ、出発時間まで気ままに待っててくれ。」
「時間前倒しには出来ないの?」
「無理だ。早めに出ると進軍とかち合う危険性がある。この国軍は愚連隊に近い。だからかち合う事がないようにしてる。」
「何で国家の機密情報知ってる訳?」
「商人は情報が命。商品の安全と需要を確保するためにね?当然戦争なんてお祭りの情報仕入れない訳がない。てか、この国は危機感がなさ過ぎて簡単に機密抜き取れるしちょっと商売先としては向いてない。まぁ、だからこそこのタイミングでの離脱なんだがな。」
「見限り。」
「そう。まぁー、どうせ滅ぶべきして滅ぶ国なんかに長居は無用さ。お偉いさんからは搾れるだけ搾り取ったしな。」
そう言って商人のおっさんはゲラゲラ笑う。
「腹黒。」
「商人ってのはみんなこうさ。信用第一だから詐欺はしないが言葉巧みに相手の思考を誘導し利益率の高いモノを買わせる。生きてる限り商人と関わる以上嬢ちゃんも覚えとき、商人は守銭奴でほぼ詐欺師だってな。」
「矛盾。」
「詐欺はしないが詐欺紛いの事は余裕でするのさ。金持ちは金の寿命を、権力者は権力の寿命をみて終わりを確信すればガッツリ毟り取る。これが俺のやり方。向こうが詐欺られた事に気がつく頃にはあの世って寸法よ。金持ちも権力者も妬み恨みに色々な感情向けられて殺されるのは目に見えてる。それでもその命が続いていたのは力があったから。それが剥がれたら当然、灯火は簡単にかき消される。」
「なるほど、お前が莫大な富を短期間で築けたのはその見極めが上手いからか。」
「お姉さんは理解が早いね。…見込みはあるか。二人に一つ助言をしておこう。アレとは仲良くやった方が得だ。ローリスクハイリターン、無理に取り入る必要は無いがな。」
そう言いながら寝てるグレースを指差す。
「そんなの分かってるわよ。Sランクに認定されるだけの力がある奴に…。」
「そうじゃない。この先大きな利益を生み出す金の木なんだよ。この莫大な利益の可能性を前にして上辺しか見えてないのは勿体無い。」
「「?」」
「まぁ、その内分かるさ。」
三人は出発の時間まで雑談をし時間を潰した。
「出発するぞー。」
「ふぁー、久しぶりに寝た気がする。」
「おいおい、寝ぼけてるのか。こんな所で魔法なんて使わないでくれ。」
「?」
周りを見ると普通に凍ってた。見た感じ表面だけみたいだけど、寝起きは制御が緩くなるのかな?
自身の事なのに後付けの力だから全く分からない。まぁ、堕天使のおかげで制御はしやすくなってるけど。
「さー、長い旅路だ。くれぐれも宜しく頼むよ。流石に野盗のアジトとかは把握してないからな。すぐ場所変える犯罪者のアジト常に全部把握は無理過ぎる。危険なモンスターの生息地は全部避けてる筈だからモンスターより人に気をつけろよ。」
「はーい。」
「あいよ。」
「了解。」
グレース達は目的地を目指し移動を開始した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます