第22話 魔王襲来

えー、私がダンジョンの外に出ると明らかやばい奴がいた。んで、そのヤバい奴から全力で逃げている。


「なになになに!!?」


「命を持って罪を償え。」


見た目的には一般人、本当に何の特徴も無い人に命を狙われている。戦闘になったら死ぬ。私の勘がそう言ってるから相手を撒こうと身体能力強化を利用してガチダッシュしてるのに全く距離が開かない。と言うか確実に詰められている。


「街に逃げ込むのが最善か?」


どう思考を巡らせても私の勘が死を知らせ続けてて、どれもこれも詰むらしい。勘だけはどんな無茶苦茶な内容でも外れた事ないって言う事実が己の死の確実性を補強する。


「違う、なんで?何で私が狙われてるの?私まだなにもして無い!!ロマン足りない!!死ねない!!」


「氷の魔女よ、無駄な抵抗はせず死を受け入れた方が身の為だぞ。我とやり合ったところで我には勝てぬ。」


まずは相手の正体を探るべく一瞬振り返って鑑定を使う。


魔王:この世界の魔王なのー。純粋に凄い強いのー。因果を味方につけているはずの勇者ですら傷一つつけられなかったのー。見かけたら仲良くしておくのー。敵対はどんなチート能力者でもおすすめしないのー。


うん、狙われてる原因分かったわ。取り敢えず人が多い場所に逃げ込むが得策。魔王と言えど王、ゲームとかと違って軽率な行動は出来ない筈。遠距離攻撃して来ないところを見るとに遠距離系は破壊規模が大きすぎると見るが妥当。距離を取った方がいい、街から離れすぎない方がいい。逃げ切るには脚力が足りない…なら障害物を利用しろ。


「魔女の癖してすばしっこいな。木々を利用し立体的に動く事で脚力の差をカバー。あー本当に面倒だな。」


明らかに機嫌が悪い。周りへの影響考えずぶっ放すんじゃ…。ぶっ放される前に人混みに!!


「何なんだよもー。クソエンカ多すぎない?この世界ロマンヤバいけど、死のエンカ多すぎ!!ロマンに命賭けるのは喜んでやるけどその他のクソエンカで死んでたまるか!!!」


魔王の説明的に因果がどうとか言ってたし時空間魔法使っても多分無意味。てか、魔王パワーで中の腐った龍を復活させられる可能性がある以上時空間魔法は使えない。堕天使に中身貰ってもらえば良かった…。兎に角逃げないと!!


「あー、面倒だ。魔女なのだから即死はせんだろう。」


私はくるっと方向転換すると同時に凍結魔法を最大出力でぶっ放し壁を作る。それと同時に魔王からの攻撃が飛んできて分厚い氷の壁を貫通させた。


「危なかった。威力減衰させたのはナイス判断。てか、マジでどうすべきなの?私勇者じゃ無いから多分魔王に勝てないよ?一方的に蹂躙されるだけのモブだよ?」


氷の壁に開いた穴の中から猛スピードで魔王が出てきて頭を掴まれた。すっげ、頭を鷲掴みにされたら動けなくなるもんなんだ。


「こんなモブ居てたまるか。…攻撃を放てば防ぐために止まらざる終えない。お前の最善は攻撃を受けつつも逃げ続ける事だった。判断をミスったお前は死ぬ。さて、今際の際だ、我の質問に正直に答えるなら苦しませずに殺してやろう。我の部下をどこにやった?」


「知らなーい。私に降り掛かる火の粉は払い除けたけど私みたいなモブに貴方みたいな化け物の部下が殺せるわけないじゃん。」


因みに私があの龍を殺せていないのは多分事実。亜空間に閉じ込めただけで殺せているかは謎だし。まぁ、生きてても精神と自我が崩壊してるのは確実だけど。


「そうか…。苦しんで死にたいようだな。」


【警告:全てのスキルが封印されました。】

【警告:ステータスが上位の者によって強制開示されています。】

【警告:精神を侵食され始めました。】


「ヤバー。死ぬやん。」


てか、警告なんて初めてみたなーなんて思った次の瞬間私の胸部より下が消し飛んだ。


「ふむ、加減をミスったか…。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る