第16話 ダンジョン

ダンジョンの中を少し探索して色々分かってきた。まず、ダンジョンって存在はロマンの塊であると言う点。もう、超楽しいのこれ。


「壁や床は不可壊、どー言う技術?滅茶苦茶興味ある!!モンスターも居るけど気配殺してエンアウト避ける事は可能。ここら辺は普通の野生動物と変わらないが力や能力はイカれてる。戦闘になったら多分勝てない…。そして何より最高でロマンあるのは明らかに年月が経っているのに最近出来たとか言ってた点。何それ超不思議で超ロマンあるんですけど!!たまに壁画みたいなのもあるし考古学者とかになったみたいで探索楽しい!!」


因みに鑑定を使っても何も出てこない事からダンジョンは地面とかと同じ判定な事は分かってる。こう、一つ一つ解き明かしていくのって滅茶苦茶楽しい!この高揚こそ、ロマンの醍醐味の一つ!


「また分岐か。構造は迷路みたいになってるんだよなぁ。でもこれも楽しい!ミニゲームみたい。」


私は中央にある道を選び進んでいくと宝箱一つが置かれた部屋に繋がっていた。


「怪しい…。絶対罠。でも、どんな罠か気になる!!でもでも、ここでこんなロマンの世界とお別れはしたく無いし…。でも、もし中身がロマンあるモノだったとしたらって考えると見逃すなんて事は出来ない!!」


好奇心の赴くままに宝箱に手をかけるが開かない。よく見ると鍵穴がついている。


「鍵ぃー?ここにきてそれはないよー。ワクワクが冷めるじゃん。」


取り敢えず試しで鍵穴に凍結魔法を使い破壊を試みる。ダンジョンの壁や床と同じように不可壊だと思ってたんだけど、普通に壊れて開いた。


「中身は…大葉?薬味のあれ?こんなモノを常温で且つ鍵付き宝箱に入れて保存しとくとかこの作った人は何考えてるの?相当な大葉マニア?」


あまりにも期待はずれな葉っぱも一応鑑定をかける。


薬草:傷薬的な奴なのー。腕がいい者が加工すれば複雑骨折ぐらいなら瞬時に治せる優れものなのー。でも、皆んな腕悪いから浅い切り傷とかを治すのが精一杯なのー。そのまま傷口に当ててた方がまだ効果あるのー。


「うーん、ただの大葉じゃ無いって事?ちょっと、齧ってみよ…。」


味見でその大葉を口に含んでみるがすぐに後悔することになった。


「おぇぇー。エグ味と苦味を煮込んで圧縮し続けたみたいな味キッツ。薬味として使えないよこんなの!!」


グレースは大葉だと思っているがこれでも薬の元なので味はこの世のものとは思えない程不味い。だが、下手に前世の知識があると大葉にしか見えないので普通に食べれると思い口にする者もそれなりに居る。反応はお察しである。

因みにこの世界は定期的に異世界人を呼んでいるので普通に色んな世界の知識が混在していてとても混沌としている。闇鍋みたいな世界である。


「ペッペッ、モンスターとのエンカ避けてたバチでも当たったかなー。でも、このエグ味や苦味も初めてだし口に入れてみて正解だった。色々知れるの楽しいー!!ロマンに溢れてる。ロマンに溢れた世界でロマンに溢れた食材にロマンに溢れた存在も沢山。ここは天国か何かかな?沢山堪能するぞー。」


そのまま、グレースは奥へ奥へと進んで行った。


〜その頃勇者達〜


「さみぃ!!ポーションあってもコレって素の温度どれぐらいなんだよ。てか、素で耐えられる奴とか居るのか?」


「仕方ないでしょ。気候を変える程のナニカが居たんだから。痕跡追ってとっとと離れるわよ。」


「それが一番だな。で、痕跡ってどう辿るんだ?」


「「知らない。」」


「ダメじゃねぇーか。!?」


「おい、今の気づいたか?」


「あぁ、遠くで悍ましい何かが弾けるような感じが…。」


「場所的に最近できたダンジョンっぽいし、その中に逃げ込んだのかも…。急いで現場に向かうわよ!!」


そうして勇者一行はグレースが探索中のダンジョンへと急いで向かった。

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