第15話 ロマンがある場所へ
私はこの街に案内してくれたパーティーの人達と別れる前に少し質問をしていた。
「ねぇー、ロマンがある場所知らない?やっぱこう言うのって現地の人に聞くのが1番でしょ。」
「ダンジョンにでも行ってみたら?確かこの近くに新しいのが出来たらしいし…。」
「おっけー、行ってみる、ありがとうー。」
「え、ちょっと場所は聞かないの!!?」
「あらら、行っちゃったわね。」
「自由奔放で何にも縛られない自由人、こんな世界でどうやったらあんな狂人が生まれるのか…。」
「んじゃ、俺達はとっととこの国から離れるぞ。魔王と殺し合うのは勘弁。多分瞬殺される雑魚が俺達だしな…。あんなのもう魔王じゃねぇーんだよ。」
「えっ、あのお伽話信じてるの?男の子って意外とピュアなのねー。」
「信じるも何も多少脚色されるていることを加味しても勇者殺しって言う実績考えたらどの道勝てねぇーよ。どんな冒険者でも無策で無謀な特攻なんぞに協力はしねぇーんだよ。」
「まぁ、確かに史上初の勇者殺しの実績持ちの魔王となんか戦いたく無いわね。」
「上層部が生き残るためにどんな理不尽してくるか分からない以上始まる前に国外に逃げるのが安定。交渉がうまくいけば戦争回避は出来るだろうがこの国の統治者って魔王舐め腐ってるし、巻き添えで死ぬなんてごめんだ。」
そんな会話をしながらピーター達はその日のうちから国外へ移動した。
一方、グレースの方は地図を参考に地形から何かありそうな場所に移動していた。地図には名前は何も書き込まれないがリアルタイムの地形が書き込まれ続けるため違和感のある場所が分かりやすくなっている。
「わー、ダンジョンって奴か。入り口はどっちかと言うと洞窟っぽい?」
「餓鬼は帰った帰った。ここは餓鬼が入れる場所じゃねぇーよ。」
簡易的な監視塔みたいな場所にいるおじさんにそう声をかけられた。
「えー、ロマンあるのに行くなって、邪魔するつもりなら消すけど?」
監視塔が冷気に当てられて下からゆっくり凍りつく。
「お、おぉ…。なるほどエルフ系の奴か。なら止めらしねぇよ。言っておくがこの先何があろうと自己責任だ。それだけは心に刻んでおくように。」
「はーい。当然、ロマンを追うならば命の保障など必要無い!!はぁー、入る前から興奮してきたー!!」
そう言いながらグレースはダンジョンの中へ消えて行った。
〜一方その頃勇者パーティーにて〜
「魔王討伐じゃ無くて原因処罰なんてファンタジー感無さすぎてつまんない。」
「まぁ、現実的に考えて異世界人に頼らないと勝てない奴に無駄に喧嘩売りに行く方が非現実的だし、戦争回避は現実的で合理的だけどね。」
「俺らが居れば魔王討伐なんて余裕なのにな。だって、異世界系の鉄板って特に努力もせずに俺らが無双するのがお約束だろ?」
「ファンタジーと現実を同一視するのはやめとけ。ファンタジーと違って死んだらそこでお終いだぞ。あの国王から再三警告されただろ?」
「ハハハ、チート能力を持った俺達が死ぬわけねぇーじゃん。好き勝手暴れても許されるこんな楽園に送られて調子乗らない方が頭おかしいわ。で、どこに行けばいいんだっけ?」
「魔王の反応消えたし、魔王が調査していた場所に残った魔力の痕跡から犯人探し出せって指示だから雪原の方だな。」
「えー、私寒いの嫌よ。」
「文句言っても仕方ないだろ。この世界のシュチュだとそう言う設定なんだからよ。テンプレから外れたら死ぬのはどんな創作でも共通だろ?」
「だから、お前は現実とファンタジーを混合して考えるな。死んだらそこで終わりなの分かってる?」
「ハハハだからそもそも死なねぇーって。」
そんな会話をしながら馬車に乗り込み数時間かけて雪原へ移動し痕跡を辿り、魔王よりも先にグレースがいる場所へと辿り着く事に成功したが、現実を舐め腐っていた勇者達の末路は悲惨なモノだった。
因みに魔王より勇者の方が早く到達出来た理由は魔王と違い堂々と動けて更には他人に迷惑をかけても問題ないとか言う無法で進めたためである。一応、魔王は一種族の王として種族全体を考えて行動しているため色々足枷は多い。
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