第17話 自然物?人工物?
ダンジョンの探索を続けていると階段を発見した。明らかに人工物で年季が入ったそれはどこか魅力的に見えた。
「絵画っぽいのはそう見えただけって言い訳で誤魔化せるけど、これ見て人工物じゃ無いはあり得ない。でも、最近出来たと言っていたけど、最近作られた痕跡が無い。うー、気になる!!こんな明らか人工物が自然生成されるもしくは痕跡すら残さず年関係なく年季を入れたりそれっぽく見せる技術。このどっちかなんだろうけど、どっちが要因なのか気になる!!」
どちらにしてもロマンのある話、想像するだけで楽しい。
「でも、これだけの空間どうやって掘り出したんだ?」
迷路になってて気がつくのが遅れたが、人工物であるならこれだけの空間を掘り抜く必要があり、更に下まで続いている。不自然なのは道中は自然に出た洞窟っぽい造りなのにこの階段だけは一段一段が平らで段差が一切無い。しかも、一つの巨石を切り出さない限りあり得ない構造。人工物だとしてもこの規模だとこの世界の技術水準を見る限り不可能。つまり、仮説すら立てることが出来ない未知…超ロマンあるじゃん!!
「ふふふ、最高じゃないか!!古代文明でも今の文明でもない。しかし、自然生成とも考えずらい。予測不可能な完全なる未知!!もー、テンション上がりまくりだよぉ。…絶対この中の何処かに仮説ぐらい立てられるヒントはあるはず。ふふふ、こんな場所に居られるなんて幸せ…。」
私は多幸感に包まれながらダンジョンの階段を降りる。
「!?」
千には軽く届くであろう階段を降り終えると我が目を疑った。
「はぁ!?階段降りただけで完全に別世界??なんで空があるの?え?ここ、地中だよね?だって階段一段結構大きいから30cmぐらいあると仮定しても段数的に数百m単位で山の上でも無い普通の平地から降りてるよ?それだけ降りれば普通地中だろうし、空なんて見える訳ないよね?えー、もうやだ。何ここ、どんだけ私を興奮させれば気が済むのかな。それにしても一階と違ってほとんどモンスターの気配しないなぁ。一階は野生動物に囲まれた時みたいに殺気で満ちていたのになんでだろ?」
雰囲気的には完全に密林なんだけど、非常に嫌な予感がする。スキルとかそう言うのじゃなくて本能が逃げろと訴えてくる。なんで?
キョトンとしていると急に右肩辺りに猛烈な痛みと喪失感が襲ってきた。
「くっ!!?」
私は反射的にその場から離れ、自身の右側を確認する。
「肩から下が無くなってる!!隠密スピードパワー型のモンスターか。この階層は甘く無いと…。くそー、ロマンを求めてるだけなのに邪魔しやがって!!」
滅茶苦茶痛いがロマンの探求を邪魔された怒りがそれを遥かに上回り普通に動けている。邪魔されたので容赦するつもりはない。
「ぶち殺す。話はそれからだ。」
〜その頃勇者〜
「えー、ここら辺だったか?俺地図は読めねぇーんだよ。この世界の地図大雑把過ぎて分からん。方角すら違うこともあるし…。」
「科学文明に慣れすぎたのよ。こんなの気持ち悪い気配がした場所へ真っ直ぐ行けばいいだけだし、迷うわけがない。それに、あそこの人を見れば分かるでしょ。こんな場所に急に人が駐屯しているのなら何かある。」
「あー、クソガキ共は帰った帰った。普通の大人も今日は入れねぇ。異常が観測された以上安全管理の関係で入れられねぇんだわ。」
「どうする?」
「「そんなの一択でしょ。邪魔する奴はぶっ殺してでも前に進む。」」
「血気盛んなのはいいが調子乗ってると痛い目に遭うぞ。相手の技量を計れぬような未熟者はギルドからの許可は降りない。…はぁ、そんなに殺気出されてもこっちは引退した身なんだがなぁ。魔物では無く人を殺すのは嫌なんだが…。そっちがその気なら仕方ない。このクソみたいな世界で中年を見たら生き残りと思えって、学校の先生から習わなかったのか?…とある魔道士が毎年調べて出してるんだが人族の平均寿命は25歳らしいぞ。ほとんどが10になる前に死に、15を迎えるまでに危機管理能力を身につけられなかった奴は20を迎える前に死ぬ。」
おっさんはいつの間にかナイフを手にしていた。
「現実は非情なんだぜ?…おじさんからの最終通告だ。失せろ、従えないのなら殺すぞ。」
おっさんが見張り台から飛び降り綺麗に着地すると同時に異常な殺気が漏れ出す。平和な世界でのほほんと暮らしていた勇者達にとっては余程の恐怖であっただろうが勇者達は表情を崩さず、逆にほくそ笑む。
「まずは準備運動と行きますか。」
「そうね。このおっさんムカつくし殺しちゃいましょう。」
「賛成。」
全員余程自身に与えられた力に自信があるのか油断と慢心に満ちた態度でダンジョンで見張り番をしていたおっさんと対峙する。
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